おはようございます、doctorKです。
さて、今回は最新技術、特にディープラーニングに焦点を当てた記事の最終編として、網膜中心静脈閉塞症に対する研究です。
網膜中心静脈閉塞症とは
網膜中心静脈閉塞症について知らないという方に、網膜中心静脈閉塞症を簡単に説明しますね。
網膜を走る静脈のうち幹となる静脈を網膜中心静脈と言います。網膜中心静脈閉塞症はその網膜中心静脈が何らかの原因で詰まり、むくみ(浮腫)や出血を引き起こし、視力低下や視野障害の原因となります。日本人では40歳以上の約50人に1人(2.1%)に発症するとされています。
論文の内容
この網膜中心静脈閉塞症に最新技術のディープラーニングを活用できないかという論文をご紹介します。今日紹介する論文は2018年にツカザキ病院のDaisuke Nagasatoらが発表した論文で、タイトルは『Deep Neural Network-Based Method for Detecting Central Retinal Vein Occlusion Using Ultrawide-Field Fundus Ophthalmoscopy』です。
この研究では125人の網膜中心静脈閉塞症患者と202人の網膜中心静脈閉塞症出ない患者の画像を分析しています。分析にはディープラーニング(DL)とDLが流行る前によく用いられていたSVMという機械学習です(SVMについて詳しく知りたい方はSamurai Blogが分かりやすいのでこちらを読んでみてください)。
早速ですが、結果を見ていきましょう。
For diagnosing CRVO, the DL model had a sensitivity of 98.4% (95% confidence interval (CI), 94.3–99.8%) and a specificity of 97.9% (95% CI, 94.6–99.1%) with an AUC of 0.989 (95% CI, 0.980–0.999). In contrast, the SVM model had a sensitivity of 84.0% (95% CI, 76.3–89.3%) and a specificity of 87.5% (95% CI, 82.7–91.1%) with an AUC of 0.895 (95% CI, 0.859–0.931).
まとめると、DLは感度98.4%、特異度97.9%、AUC0.989に対し、SVMは感度84.0%、特異度87.5%、AUC0.895となっています。
この結果からディープラーニングが検査として非常に有用であることがわかります。というのも、感度が高いと除外診断に有用で、特異度が高いと確定診断に有用ですから、DLは高確率で網膜中心静脈閉塞症と診断できることがわかります。
このようにディープラーニングは検査として非常に有用で、もはや新米眼科医よりも確定診断率は高いかもしれません。オンライン眼科ではディープラーニングの有効性を記事にしています。参考までに下記記載の記事をご覧ください。
それではまた次の記事でお会いしましょう!
参考文献
Journal of Ophthalmology Volume 2018