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先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症とは
先天性CMV感染症はCMVに感染することで生じるが、日本人の約9割前後は出生時の経産道感染とその後の水平感染により、成人までに不顕性初感染する。抗体陽性の母体から胎児に経胎盤感染する頻度は0.2~2.2%で、妊娠中に初感染するのは20~40%、そのうち5~10%が先天性CMV感染症となる。サイトメガロウイルスが妊娠初期に感染すると流産となる。
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の症状
先天性CMV感染症は低出生体重児、肝脾腫など全身症状をきたすが、眼症状としては網脈絡膜炎が主症状となる。網脈絡膜炎は網膜後極部の血管走行に沿って滲出性の白色斑、綿花状白斑、網膜出血などが出現する。ときに顆粒状の小滲出斑が周辺部に多発することもある。
網脈絡膜炎が進行すると、白色病変は癒合し癒着する一方で、新たな滲出斑が出現することもある。末期の状態になると視神経萎縮や網膜剥離を生じることもある。この網脈絡膜炎の他に、無眼球、小眼球、乳頭形成異常、白内障を生じることもある。
全身所見として小頭症、肝脾腫、黄疸、皮下出血、脳内石灰化、難聴、精神発達遅滞が見られる。
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の診断
診断は生後2~3週間以内の血液・尿検体からウイルスが分離培養されると確定診断となる。その他にも、臍帯血や新生児血のCMV IgM抗体を用いることがある。
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の治療
治療には抗ウイルス薬(ガンシクロビルとホスカルネット)があり、重症例に用いるが、副作用もあるため確立した治療法はない。
- ガンシクロビルの副作用:30~50%に白血球減少があり、長期使用例で耐性株が出現しうる。
- ホスカルネットの副作用:ガンシクロビル耐性株にも有効だが、腎機能障害に注意する。
参考文献
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