眼球運動障害

輻輳不全、輻輳麻痺、輻輳けいれん

輻輳不全とは

融像性輻輳が不完全で、近見時に輻輳が十分働かない状態を輻輳不全といい、近業作業に従事する人に生じやすく、VDT症候群として認められることも多い。遠見時の斜視角よりも近見時の斜視角の方が大きい。

強い眼精疲労があり、時に近見時に外斜視を呈するため、交叉性の複視を訴えることがある。

輻輳不全があると10㎝以内にある輻輳近点が延長し、完全屈折矯正下で反復して輻輳近点を測定すると、徐々に近点は延長する。調節力は正常だが、輻輳運動ができないことで診断できる。

輻輳訓練により運動性に輻輳ができるようになることが多いが、軽快しない場合には、近用眼鏡を基底内方のプリズム眼鏡にする。このプリズム眼鏡を近見作業時に常に装用するとよい。

輻輳麻痺とは

急性発症に輻輳ができなくなり、近見でのみ外斜視となるため複視を訴える。主に中脳水道近傍の腫瘍(特に松果体腫瘍)、脱髄、外傷、炎症、血管病変などによる中脳背側症候群などが原因として知られている。

内転は可能であるため眼球運動障害はないが、輻輳はできないため近見時に外斜視となり、交叉性複視を訴える。遠見時には複視を認めず、対光反射は正常であるため対光―近見反応解離を認める。また、大型弱視鏡や基底外方プリズムで融解像を測定すると、輻輳方向への融像域がほとんど測定できない。

治療は原疾患の治療を行い、それまでは近見用に基底内方のプリズム眼鏡を処方する。

輻輳けいれんとは

発作性に両眼が内転し続ける状態を輻輳けいれんという。調節けいれんと縮瞳を伴うため近見反応けいれんとも呼ばれる。主な原因は転換性障害などの心因性とされる。自覚症状としては遠方時の同側性複視近視化に伴う視力低下がある。その他にも、悪心、嘔吐、頭痛、眼痛などを訴えることが多い。

治療は心因性であれば心理的な不安を除去することに努める。必要であれば心療内科や精神科に併診する。また、片眼帯がけいれんの除去に有効なことがある。もし輻輳けいれんが持続すれば調節麻痺薬の点眼を行うが、ほとんどの症例で自然軽快する。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版
  2. クオリファイ22(弱視・斜視診療のスタンダード)

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