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Sturge-Weber症候群とは
顔面血管腫(三叉神経領域)、同側の髄膜血管腫、緑内障を特徴とする症候群で、ほとんどが孤発例とされている。
出生5万人あたり1人の割合で発症する。性差や遺伝性はないが、GNAQ遺伝子の体細胞モザイク変異が血管腫の発生に関連する。緑内障は乳幼児期に約60%、残りは小児期以降に診断される。
Sturge-Weber症候群の症状
眼症状としては緑内障が重要で、角膜径の増大、角膜混濁を示し、羞明、流涙、視機能障害をきたしうる。特に、眼瞼に血管腫が及んでいる場合には高率(30~70%)に合併するとされている。原因は隅角の発育異常や上強膜静脈圧の上昇、脈絡膜血管腫の関与が考えられている。
また、血管腫を認めることがあり、その発生部位は結膜、虹彩、脈絡膜などに認める。特に、脈絡膜血管腫が高頻度にみられ、時に滲出性網膜剥離に進展する恐れがあるため注意を要する。眼底所見としては網膜血管の蛇行を認めるほか、結膜や上強膜の血管も拡張・蛇行していることが特徴として挙げられる。
Sturge-Weber症候群の診断
乳幼児期の隅角検査で原発先天緑内障と同様、虹彩高位付着を認めることもある。また、小児期以降の場合は隅角検査で上強膜静脈圧の上昇によるSchlemm管内にうっ血を認めることがある。
眼所見としては上記確認を行い、脈絡膜血管腫の診断のためには蛍光眼底造影検査(FA)が有用とされている。早期に大型の脈絡膜血管パターンを認め、後期に腫瘍部分全体が過蛍光を示す。
Sturge-Weber症候群の治療と予後
幼児期までに発症した緑内障であれば線維柱帯切開術や隅角切開術が選択され、それ以降の年齢であればまず薬物治療を行う。薬物治療や流出路再建術が奏効しない場合には、線維柱帯切除術やチューブシャント手術を検討する。脈絡膜血管腫が増大して滲出性網膜剥離が生じる場合には冷凍凝固の適応となる。
発達緑内障に比べれば難治性だが、早期治療介入により良好な眼圧コントロールができれば視力は保持できる。また、脈絡膜血管腫が増大して滲出性網膜剥離をきたすと、冷凍凝固を行っても奏効せず、重篤な視力障害をきたすことがある。
線維柱帯切開術を選択するのは、房水流出抵抗がおっもに線維柱帯の部分にあり、線維柱帯切開術の効果が期待できることに加えて、乳幼児期の線維柱帯切除術は濾過法管理が困難で、晩期感染症が起こりうるなどが理由として挙げられる。また、術中および術後の急激な眼圧変動は、駆逐性出血などの重篤な合併症のリスクを高めることがある。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 眼科学第2版
- あたらしい眼科Vol.37, No.1, 2020
- 緑内障診療ガイドライン(第5版)
- あたらしい眼科Vol.39, No.9, 2022
- Sturge-Weber syndrome and port-wine stains caused by somatic mutation in GNAQ
- Ocular manifestations of Sturge-Weber syndrome: pathogenesis, diagnosis, and management