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多発消失性白点症候群(MEWDS)とは
眼底は後極部を中心とした網膜深層から網膜色素上皮(RPE)層レベルに円形の多発性白点が散在する。1~2か月以内に消失するが、黄斑部の顆粒状変化は残る。20~50歳の女性(男女比1:4)、近視に好発する。半数は感冒様前駆症状を伴った後、片眼性の突然の視力低下や霧視、傍中心暗点、光視症などを訴える。
多発消失性白点症候群(MEWDS)の検査
0.眼底検査
後極部中心に網膜深層から網膜色素上皮レベルに100~200μm大(1/5乳頭径)のさまざまな黄白色の白点が多発する。大きいものは中央が灰白色に抜けて大きな輪状をなす。特に中心窩には黄色~橙色の顆粒状所見を単体でも認めることがある。これら眼底所見は病期早期に生じるがやがて消失する。
1.光干渉断層計(OCT)
MEWDSの活動期にはEllipsoid Zone(EZ)が不整になるが、不整が改善するとともに視力は改善する。
初期段階として黄色白点とIAの低蛍光斑に一致してEZラインの消失を認める。これに一致して網膜色素上皮(RPE)から視細胞内節外節消失部位を超えて、外顆粒層にまで伸びる中等度反射斑が観察される。この中等度反射斑は特に中心窩では柱状、または斑状の特徴的な形状をとって認める。
↓やがて
EZラインは黄色白点あるいはIAの低蛍光斑の有無にかかわらず広い範囲で消失し、OCTの中等度反射斑(IAの低蛍光斑に一致)は小型化して数が増える。
↓やがて
中等度反射斑は消失しEZラインは約1か月でほとんど復元するが、ところどころ不整な部位が残存する。
2.FA
網膜白斑部は早期から過蛍光(=wreath-like)になり、後期に拡大を認めない。
3.IA
白斑部は後期に散在する低蛍光を認める。
4.視野検査
視野狭窄、マリオット盲点の拡大、中心暗点が見られる。
5.網膜電位図(ERG)
多局所ERGで黄斑部付近の振幅の著名な平坦化を認める。
6.蛍光自発蛍光(FAF)
IAにおける低蛍光領域と同部位に見られるFAFによる過自発蛍光が同定できる。
多発消失性白点症候群(MEWDS)の治療
MEWDSの多くは約1か月で、長くとも3か月以内に自然軽快することが多い。よって、基本的には経過観察を行い、視力回復が遷延する場合はステロイド全身投与を検討する。
視力予後は良好とされる。しかし、中には視力が0.6~0.7までしか回復しない症例や再発例を認める。後者の例では急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR;acute zonal occult outer retinopathy)の移行型とも考えられている。
このようにMEWDSはAZOORや脈絡膜炎とを併発することがあるため、AZOOR complex syndromeという広い疾患概念の一だとも考えられている。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 黄斑疾患診療AtoZ
- 眼科学第2版
- EXPANDED CLINICAL SPECTRUM OF MULTIPLE EVANESCENT WHITE DOT SYNDROME WITH MULTIMODAL IMAGING
- あたらしい眼科 Vo.39, No.6, 2022
- Indocyanine green angiography in multiple evanescent white-dot syndrome
- Multiple Evanescent White Dot Syndrome: A Multimodal Imaging Study of Foveal Granularity
- Indocyanine green angiographic aspects of multiple evanescent white dot syndrome
- [Indocyanine green angiography in “multiple evanescent white dot syndrome” (MEWDS)]
- Natural evolution of fundus autofluorescence findings in multiple evanescent white dot syndrome: a long-term follow-up