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スペキュラーマイクロスコープとは
鏡面反射の原理によって前眼部の透光体組織を面として観察することができ、涙液層、角膜上皮、角膜内皮、水晶体全面、眼内レンズの表面などの観察が可能とされる。臨床的には角膜内皮の評価に用いられている。
スペキュラーマイクロスコープの対象疾患
角膜内皮疾患の診断や内眼手術前後の角膜内皮の評価に用いられる。また、角膜移植の提供眼の評価にも必須の検査である。
ただし、内皮の観察のためにはそれよりも前面にある、上皮や実質の透明性が保たれている必要がある。よって、水疱性角膜症や角膜白斑など角膜混濁が著名な例では観察困難となる。
スペキュラーマイクロスコープの検査方法
スペキュラーマイクロスコープには接触型も存在するが、臨床では非接触型が用いられている。なお、操作方法については機器により異なるため省略する。
スペキュラーマイクロスコープの評価
『Use Specular Microscopy to Diagnose Corneal Disease』より引用
1.定性的判定法
観察された内皮像を見た目で評価する。細胞の大きさ・大小・形態・配列などに注意する。
特徴的所見
- dark area:内皮細胞が黒く抜けて見える部分があり、Fuchs角膜内皮ジストロフィや滴状角膜で認める。
- 他の部分とは明らかに異なる細胞領域:ICE症候群、後部多形性角膜ジストロフィ、posterior corneal vesicle、眼内上皮増殖などの疾患を疑う。
2.定量的判定法
定量的解析方法として、fixed flame法やdigitizer法(頂点入力法。image analyzer法、中心法)がある。現在は、細胞輪郭を自動的にトレースし、画像解析を行うことが可能となっている。ただし、解析結果と直接観察した結果に差がないか確認する必要がある。
定量的解析の指標
- 細胞密度(cell/mm²):左右差や性差はない。白人より日本人の方が密度が高く、日本人の正常値は2780~3410cell/mm²とされる。年間0.3~0.7%程度細胞は減少する。30歳代で2700cell/mm²、70歳代では2100cell/mm²以上が正常と考えてよい。
- 平均細胞面積(μm²):細胞密度と逆数の関係にあり、正常値は296~367μm²とされる。加齢とともに増大する。
- 変動係数(CV値):細胞面積の標準偏差/平均細胞面積のことで、大小不同を表す指標である。正常値は0.26~0.40で、加齢とともに増大する。
- 六角形細胞出現率(%):正常の内皮細胞は六角形であることが多く、障害を受けると変形し、六角屋の数は減少する。正常値は55~67%であり、加齢とともに低下する。
※一般的に、変動係数、六角形細胞出現率は細胞密度や平均細胞面積より敏感なパラメータであるとされている。
参考文献
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