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虹彩角膜内皮(ICE)症候群とは
後天的に角膜内皮細胞が異常増殖し、隅角、虹彩前面に進展し、それによって虹彩委縮、偏位、欠損、結節が出現する症候群を虹彩角膜内皮(ICE)症候群という。虹彩の萎縮性変化、角膜内皮異常、周辺虹彩前癒着の進行すると、難治性緑内障と角膜混濁を起こす。片眼性の予後不良な疾患である。
臨床的特徴からessential iris atrophy、Chandler症候群、Cogan-Reese症候群に分類される。とはいえ、重複や移行もあり厳密に区別する意義はない。原因は明らかではない。ICE症候群ではいずれも片眼性、進行性、非家族性で共通して角膜内皮異常と虹彩周辺前癒着の特徴をもつ。若年から中年の女性に多い。
虹彩角膜内皮(ICE)症候群の診断
下記あれば診断可能とされる。
- 片眼性で角膜や虹彩に病変を認める
- 眼圧が上昇している
- 角膜内皮細胞数の減少と形状の異常を認める
- 隅角に周辺虹彩前癒着を認める
進行性虹彩萎縮症
進行性の虹彩委縮による虹彩の孔形成と、虹彩組織の萎縮・牽引による瞳孔偏位、ぶどう膜外反を特徴とする。瞳孔偏位は周辺虹彩前癒着が多い方に偏る。
Chandler症候群
Chandler症候群ではPASが早期から起こりやすく、PASによる角膜浮腫で霧視、ハローが初期症状として認識される。片眼性で、比較的若い成人で見られる。虹彩の軽度萎縮と、角膜内皮の異常・減少(大小不同、異型性が広範囲)を特徴とする。瞳孔には異常が起こりにくい。眼圧上昇が軽度でも角膜浮腫が起こりやすい。
Cogan-Reese症候群
ICE症候群の中で最も稀な疾患で、虹彩上の有色素性の小結節隆起性病変や色素沈着など、いくつもの色素性結節を特徴とする。徐々に周辺虹彩前癒着が生じて緑内障となる。報告はほぼ女性に限られる。
虹彩角膜内皮(ICE)症候群の治療
- 角膜浮腫+→高張食塩点眼、軟膏、治療用コンタクトレンズ
- 内皮異常が高度 or 角膜浮腫が高度になれば角膜移植(全層角膜移植、DSAEK)
- 何度手術しても眼圧コントロールが難しい場合は毛様体破壊術を行う場合があることもある
※線維柱帯切除術の成功率は低く、近年ではチューブシャント手術が行われるが、その場合でも長期予後は不良とされている。
※全層角膜移植は眼圧予後が悪いため適応例が少ない
参考文献
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