角膜とその疾患

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)とは 

FCDは両眼性滴状角膜(guttata)という特徴的な所見を持つ。常染色体優性遺伝である。多くの症例で浅前房、狭隅角を呈し、時に眼圧上昇を伴う。40~70代の女性に多く発症するが、10歳未満からすでに滴状角膜が発症するFCD家系もある。異常遺伝子の角膜内皮細胞が酸化ストレスや小胞体ストレスなどの障害が加わった際、その創傷治癒が正常に機能しないことが原因と考えられている。

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)の症状

明け方の視力低下や眼痛、羞明を訴える。

Stockerによる重症度分類

病期を1期(内皮限局性変化)、2期(実質浮腫・上皮浮腫)、3期(上皮下瘢痕)に分けられる。1期の割合が多い。

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)1期(内皮限局性変化)

両眼の角膜瞳孔領を中心に角膜内皮細胞の滴状角膜(guttata)と称される変化で、内皮細胞の重層化、偽足状突起などの変化とともにDescemet膜上に新しい基底膜が形成されDescemet膜の厚みも不整となる。細隙灯顕微鏡で内皮細胞面の凹凸不整が観察できる。これに滴状角膜を伴うとbeaten metal appearanceという。

また、内皮細胞による虹彩色素の貪食による色素沈着を認める。スペキュラーマイクロスコープでは滴状角膜があれば黒く抜ける。臨床的にはこの1期が多く、積極的な治療法もない。白内障手術など内眼手術で内皮細胞障害増悪することによって合併症が出ないよう適切な診断が重要となる。

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)2期(実質浮腫・上皮浮腫)

角膜内皮細胞の機能不全によって角膜実質と上皮の浮腫が生じ、Descemet膜が灰白色に混濁し、皺壁を認めるようになる。細隙灯顕微鏡で実質の浮腫による、角膜厚の増加透明性の低下を認める。角膜浮腫により前房が浅く見えることがあり、中年以降の女性に多いことから緑内障と診断されていないか注意して診察をする。 

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)3期(上皮下瘢痕)

角膜上皮下に瘢痕が形成され透明性低下が生じるが、上皮浮腫は軽減する。角膜知覚は低下する。

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)の検査所見

滴状角膜は細隙灯顕微鏡で角膜中央部に集中した、角膜内皮層の多数の微細、透明な光輝点として観察できる。スペキュラーマイクロスコピー検査では、孤発性ないし融合して拡大したダークエリアとして観察される。


Eye Rounds HPより引用

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)の診断

上記臨床所見により判断する。

Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FCD)の治療

  1. 滴状角膜で角膜浮腫なし(Stocker分類StageⅠ)→治療は不要
  2. 滴状角膜で角膜浮腫あり(Stocker分類StageⅡ、Ⅲ)→治療は全層角膜移植あるいは角膜内皮移植である。特に、実質が瘢痕化していないStageⅡは角膜内皮移植(DSAEK,DMEK)の良い適応となる。移植後の成績は良好である。移植後再発はしうるが、再発が多いという報告はない。

参考文献

  1. 細隙灯顕微鏡用語活用アトラス事典
  2. Medscape
  3. クオリファイ12角膜内皮障害(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  4. 今日の治療指針第3版

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