こんにちは、doctorKです。
今回もドライアイで興味深い論文があったので紹介します。
ドライアイは男性よりも女性の方がなりやすく、その原因の一つはホルモンでないかと考えられています。特に、閉経後は女性ホルモンが減少するためドライアイになりやすいとされています。そこで、今回は「閉経後の女性は性ホルモン治療をすればドライアイが治るかも」という論文を見つけたので紹介します。
僕のブログではこのように日常生活で役に立つ、目に関する情報を専門書や論文を交えて分かりやすく説明しています。
論文の内容
今日紹介する論文は2018年に安徽医科大学のChao Liuらが発表したメタ分析(複数の分析をさらにまとめた信頼度が極めて高い分析)です。タイトルは『Sex hormone therapy’s effect on dry eye syndrome in postmenopausal women(閉経後の女性のドライアイに対する性ホルモン治療介入の効果)』です。
対象は358人の患者さんですが、結果をまとめますと、
We observed statistically significant improvements in the Schirmer’s test scores (MD, 2.06; 95% CI, 0.74–4.46; I2= 97%; P= .006) after sex hormone treatment. However, the scores for tear breakup time (TBUT) (MD, 1.28; 95% CI, −1.03 to 4.68; I2= 99%; P= .21) and the ocular comfort index (OCI) (MD, −1.12; 95% CI, −4.42 to 1.98; I2= 95%; P= .48) were not improved.
- 性ホルモン治療介入後シルマー試験は著明に改善した。
- BUTおよびOCI(眼の快不快を測る検査)は改善しなかった。
シルマー試験は涙の量を測る試験で、ドライアイの患者さんでは涙の量も少ないことがあり、ドライアイの原因を調べるためこの試験を行います。また、BUTは涙が目の表面から乾いてなくなるのを観察し、OCIではドライアイの自覚症状を確認しています。
つまり、「性ホルモン治療介入では涙の量は改善するかもしれないけど、その涙が眼の表面を覆っている時間や症状は変わらない」という結論になっています。
ドライアイでは色々な影響が相まって、ドライアイの症状が出てきます。性ホルモン治療は劇的なドライアイ改善は認めなかったかもしれませんが、涙の量を増やすといった効果はありそうです。
とはいえ、ドライアイの原因は様々あります。
そこで、あなたの習慣がドライアイに良いかどうかまとめた『それドライアイにGOOD?BAD?』というブログにまとめていますので、こちらも併せてご覧ください。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
参考文献
Medicine (Baltimore). 2018 Oct; 97(40): e12572.