目の病気

滑車神経麻痺

滑車神経麻痺とは

滑車神経麻痺は様々な原因により滑車神経麻痺を生じ、下記の症状を生じる。滑車神経麻痺は先天性、代償不全性、後天性に分けて考えると分かりやすい。先天性、代償不全性では先天的な滑車神経麻痺あるいは上斜筋自体の形態異常が原因である。

滑車神経麻痺の症状

先天性では健側への頭部傾斜、代償不全性では高度な上下斜視と顔面の非対称、後天性では回旋複視の自覚が特徴とされる。例えば、右先天上斜筋麻痺では左へ顔を傾け、右へ傾けると右眼が上転する。頭部傾斜により眼位は良いため、両眼視機能は比較的良好である。

この頭部傾斜によって代償できなくなり複視を自覚することを代償不全性という。代償不全性では多くは20~30歳代で上下複視を自覚して発症する。代償不全性では回旋複視のため、高度な上下斜視や上下複視を発症することが多い。

また、後天滑車神経麻痺では上下複視に加え、回旋複視を自覚していることが多い。外傷性では両眼性が多く、10度以上の外方回旋偏位を認める。

滑車神経麻痺の診断

先天性、代償不全性ではBielschowsky頭部傾斜試験(BHTT)が有効とされる。患側へ頭部傾斜すると、患側眼が上転する。また、後天性では患側への頭部傾斜で複視は増悪する。

両眼性の滑車神経麻痺では、BHTTは陰性あるいは両側で陽性で、正面視での上下偏位はわずかである。小児では頭部傾斜は著明ではなく、両眼下斜筋過動症を認める。後天性では外方回旋偏位が10度以上となる。代償不全性と後天性の鑑別のためには、頭部MRIT1強調画像を冠状断で撮影し、左右の上斜筋のうち、患側の上斜筋が萎縮していれば代償不全性と診断できる。

偽滑車神経麻痺を呈する重症筋無力症が鑑別として重要で、日内変動や採血(AchR、TSAbなど)を測定して鑑別を行う場合がある。

滑車神経麻痺の治療

保存的治療としては上下偏位を矯正するプリズム眼鏡がある。

手術適応になるのは、

  • プリズム眼鏡での矯正が約10プリズムを超える上下偏位のもの
  • 先天性で頭部傾斜が著名→下斜筋減弱術(下斜筋切除、後転、前方移動)
  • 複視の自覚のある代償不全性→下斜筋減弱術
  • 回旋複視が主な後天性→健眼の下直筋後転と鼻側移動術

滑車神経麻痺の予後

手術成績は良好だが、先天性では仮面両側上斜筋麻痺(MBSOP)という病態があり、追加手術が必要になる場合もある。MBSOPは片眼性と診断し、片眼の下斜筋減弱術をすると、術後に反対眼の上斜視が出現することをいう。小児では術前にMBSOPを検出することは難しいため、事前にMBSOPのリスクについては説明しておく必要がある。また、後天性の場合も微調節のため再手術が必要になる場合もある。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版

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