慢性原発閉塞隅角緑内障(CACG)とは
他の原因がなく、隅角閉塞のみにより眼圧上昇をきたした原発閉塞隅角緑内障の中で、急性の既往なく、慢性かつ緩徐な眼圧上昇をきたす疾患である。慢性閉塞隅角緑内障は急性閉塞隅角緑内障と同じく、浅前房、短眼軸長、比較的厚く、かつ前方に位置する水晶体という特徴をもつが、比較的軽度であるとされる。
CACGで眼圧上昇を来す理由は2つあり、1つは周辺虹彩前癒着(PAS)による持続的な線維柱帯の機械的閉塞隅角と、もう1つは線維柱帯に虹彩根部が接触する機能的隅角閉塞とが挙げられる。
慢性原発閉塞隅角緑内障(CACG)の診断
CACGは20~30mmHg程度の中等度高眼圧に加え、前房深度の評価と隅角鏡検査を行う。また、可能であれば超音波生体顕微鏡(UBM)や前眼部OCTによる隅角部観察をおコアに、プラトー虹彩形状などがないか合わせて確認を行う。その他にも、暗所試験やうつぶせ試験などの負荷試験なども行い、これが陽性であればappositional closureを強く疑うことになる。
慢性原発閉塞隅角緑内障(CACG)の治療
相対的瞳孔ブロックによる眼圧上昇がほとんどであるため、まずはレーザー虹彩切開術を行う。角膜内皮障害のリスクが懸念される場合は周辺部虹彩切除術や水晶体摘出術を行う。レーザー虹彩切開術後も高眼圧が持続する場合には、下記の4通りの所見を確認し、治療方法を判断する。
1.広範なPAS
隅角癒着解離術(+白内障手術)が第一選択となる。
2.プラトー虹彩
レーザー虹彩切開術を行うこともあるが、水晶体摘出術の方が確実である。
3.appositinal closure
レーザー虹彩切開術を行うこともあるが、水晶体摘出術の方が確実である。
4.線維柱帯からの流出障害
上記1~3がない場合に考慮され、開放隅角緑内障に準じた薬物治療および手術治療を行う。ただし、線維柱帯切除術では、術後に浅前房や脈絡膜剥離、悪性緑内障などを引き起こす可能性が比較的高い。
慢性原発閉塞隅角緑内障(CACG)の予後
レーザー虹彩切開術により眼圧下降が十分であり、その時点で視神経乳頭および視野異常がなければ新たに視野障害を生じる可能性は低い。しかし、一度視神経障害や視野異常を呈した場合には、それらの変化がないかどうかを注意深く見ていく必要がある。
参考文献
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