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深層学習を用いたOCT画像評価

はじめに

2024年7月10日、Ziqi Tangらが『Deep learning-based image quality assessment for optical coherence tomography macular scans: a multicentre study』という論文を報告しました。

光干渉断層計(OCT)は、網膜の高解像度な三次元(3D)画像を提供する重要な医療機器です。特に、黄斑領域の評価において、糖尿病性黄斑浮腫、加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症、病的近視などの眼疾患の診断と管理に広く使用されています。

しかし、撮影されたOCT画像の評価は、眼科医によってなされていましたが、これには時間がかかり、主観的な要素が含まれるリスクがあります。

この研究に着目した理由

今回の研究では、深層学習(DL)技術を用いて、CirrusおよびSpectralisという二つの異なるOCT装置から得られた3D黄斑スキャンの画像品質を評価するモデルを開発し、外部のデータセットを用いてその性能を検証しました。これにより、眼科医の負担が軽減し、より迅速かつ客観的な評価が可能になることが期待されます。特に、異なる装置や疾患を含む多様なデータセットでの評価が行われた点が本研究の特徴です。

研究の概要

本結果によれば、CirrusおよびSpectralisの3Dスキャンに対して、それぞれAUCが0.930および0.906と高い性能を示しました。また、外部テスト用のデータにおいても、AUCが0.832から0.962という数値が出ました。このことは、提案されたDLモデルが高い汎用性と信頼性を持ち、異なる地域や装置においても一貫して高精度な品質評価が可能であることを示しています。

臨床への応用

今回の研究で開発されたDLモデルは、不適切な品質の3Dスキャンを除外するためのツールとして使用される可能性があります。さらに、疾患検出のDLモデルと組み合わせることで、完全自動化された眼疾患検出ワークフローの実現が見込まれます。

これにより、眼科医の診断効率が向上し、患者への迅速な対応が可能になると期待されます。また、これらの技術は特にリソースが限られた地域、あるいは眼科検診OCT読影において、診断支援ツールとして大きな貢献ができるでしょう。

参考文献

Deep learning-based image quality assessment for optical coherence tomography macular scans: a multicentre study


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