皆さんの中にドライアイの症状で悩んでいる方はいらっしゃいませんか?
ドライアイは普段の診療でよく見かけるようになり、実際にドライアイの患者数は増えています。 現在では日本に約800~2,200万人ものドライアイの患者さんがいると言われています。 ドライアイは非常にありふれた病気であるため、軽視されていることも少なくありません。
そこで、今回は「ドライアイのある患者さんが睡眠や気分障害を高率に発生しうる」という内容の論文を見つけましたので紹介します。
ドライアイとは
ドライアイは涙の量が不足したり、涙の質が悪くなると涙の層にムラができてしまいます。ときに、目の表面に傷(点状角膜表層炎)を伴うことがあります。冒頭でも触れましたが、現在、日本には約800~2,200万人ものドライアイの患者さんがいると言われています。
さらに、オフィスワーカーでは3人に1人がドライアイという報告もあります。 ドライアイの症状は目が乾燥するだけではありません。『眼科医が説明するドライアイ』という記事でドライアイについて説明していますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
ドライアイ患者に睡眠および気分障害が高率発生したという研究
今回紹介する論文は2015年に慶応大学の Masahiko Ayakiらが発表した論文で、タイトルは『High prevalence of sleep and mood disorders in dry eye patients: survey of 1,000 eye clinic visitors』です。
論文の対象になったのは1000名の外来患者ですが、そのうち健常な人などを除外し、緑内障や白内障、ドライアイなど何らかの目の病気がある患者さん計730名で分析しています。
また、ドライアイ患者の睡眠の質と精神的な不安や抑うつ気分を評価するために、それぞれPSQIとHADSというスコアで評価しています。そして、この研究ではPSQIが6点以上であれば睡眠不良、HADSが10点以上であれば気分障害の恐れありとしています。
研究の結果
研究からは次のようなことが分かりました。
- 何らかの目の病気があると患者の37.3%は睡眠不良があり、45.5%が気分障害の可能性があった。
- 回帰分析を行うと、PSQIおよびHADSスコアは、年齢(P <0.05)およびドライアイ(P <0.05)に対してのみ優位な相関があった。
研究から言えること
この結果から白内障や緑内障などの目の病気は、睡眠や気分と密接にかかわっており、特にドライアイは重要な因子として挙げられます。
睡眠不良や気分障害を治すためにはこれら因子を取り除くことも無視できません。年齢は重要な因子ですが、年齢を修正することはできません。よって、ドライアイを治せば睡眠不良や気分障害の症状が軽くなるかもしれません。
ドライアイを治すためには眼科で目薬を処方することも良い方法でしょう。しかし、ドライアイには様々な原因があることが知られています。
日本眼科学会はドライアイの原因を11種類紹介しています。ドライアイを治すためにはこの原因も考えながら治療する必要があります。ぜひ、皆さんも下記にある関連記事を参考にして、ご自身のドライアイの原因は何か考えてみてはいかがでしょうか。
それではまた次の記事でお会いしましょう!