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視力検査の目的
裸眼視力と矯正視力(眼鏡などによる)を測定する。
目的としては
- 視力障害を起こす眼疾患のスクリーニング
- 屈折異常の定量化
- 視力矯正および手術の必要性
などが挙げられる。
視力検査とその種類
1.最小視認閾
どれだけ小さな点を見ることができるか。森実式ドットカードなど。
2.最小分離閾
どれだけ近い2点を分離して見れるか。ランドルト環やLEA grating acuity testなど。
3.最小可読閾
どれだけ小さな文字を読むことができるか。
4.輝度(明度)識別閾
どのくらいの明るさの指標を認識できるか。
5.副尺視力
どの程度のずれを認識できるか。
6.コントラスト視力
視標のコントラストと、その空間の分解能を調べる。
視力検査の原理と特徴
1.小数視力と分数視力
視力は2点または2線が分離できる最小の閾値である最小分離域を指す。一般的にはLandolt環(上図)を用い、5mの距離で遠距離視力として測定する。方向が分かる最も小さなLandolt環の切れ目を視角(1分=1/60度)に換算し、その逆数が小数視力となる。
一方で、欧米で多用される分数視力は、分子が検査距離(20フィート(アメリカ式) or 6m(イギリス式))で、分母が検査に用いた視標を視力1.0の人がかろうじて識別できる距離を示す。この分母の数値が大きいほど、大きな視標であることを意味する。なお、この分数視力は分数計算をすればそのまま小数視力となる。
(例)分数視力20/200は小数視力0.1となる。
2.ETDRS(early treatment diabetic retinopathy study)
統計解析など研究目的で行われる視力検査で、分単位の最小視角の対数から定義される㏒MAR(log of the minimum angle of resolution)が多用される。通常は4mの検査距離で行われる。
ETDRSについて詳しく
ETDRSチャートは1段ごとに、視角が1.26倍となる。1段当たり0.1㏒MARで、5つの視標があるため1視標当たり0.02㏒MARとなる。㏒MARは正確に判読できた視標の合計個数から求められるため、正答するたびに0.02ずつ㏒MARは減少する。
よって、良い視力ほど㏒MARは小さくなり、小数視力1.0以上になるのは㏒MARが負の値になる時である。また、㏒MARは視角の対数であり、各段の視標の縮小率が1.26倍と一定なので、検査距離を変更しても簡単な四則計算で処理可能である。
3.近距離視力
上記1,2は遠距離視力だが、近距離視力にも触れる。日本では30㎝、外国では14インチ、33㎝など測定距離も様々である。表記も小数視力、分数視力のほかに、ポイント数やJaeger(J)スコアなどもある。
視力検査の検査法
検査の準備
5mの距離で測定する視力表を用いる場合には、室外からの光源を防ぎ、室内照度を50ルクス以上に設定する。また、コンタクトレンズを装用している患者では、検査前にコンタクトレンズを外してもらう。特にハードコンタクトレンズでは、レンズが角膜形状を変えるため視力に影響が出やすい。
検査の実際
裸眼視力が低いと思われる眼を先に測定すると、視標の暗記を防ぎやすい。通常の小数視力検査では、大きな視標から小さい視標を順に読ませる。半数以上の正答が得られる最小の視標の段の視力値を検査結果として記す。
㏒MARの測定では、ほとんど正答できない段まで検査する。また、その視標の正誤を全て記録し、正答した視標の合計数から視力値を出す。5mの視力検査で最上段の視標(0.1)も読めなければ、0.1の視標が読める検査距離を測定する。0.1×(検査距離/5m)を視力とする。3mで0.1の視標が読めれば、0.1×3/5=0.06となる。
しかし、50㎝まで近づけても見えない場合は、指の本数が数えられるかを確認する。これを指数弁と言い、数えられた最大距離と合わせて、「30㎝指数弁」、「30㎝/n.d.」、「30cm/c.f.」と表記する。
指数弁がなければ、次は眼前で手を動かし判別できるかを確認する。これを手動弁と言い、「m.m.」、「h.m.」、「H.B.」と表記する。手動弁がなければ、次は暗室で瞳孔に光を入れて明暗が判別できるかを確認する。これを光覚弁と言い、「光覚(+)」、「s.l.」、「l.s.」、「L.S.」と表記する。光覚弁がなければ、医学的失明を意味する。その際は「光覚(ー)」、「視力0」と記載する。
※視力測定で目を細めたり、遮蔽子で眼球を圧迫しないようにさせる。
※Landolt環ではなく、文字や絵を用いる場合には、被験者の言語や認知能力に左右されることは念頭に置いておく。
視力検査の判定
スクリーニング検査であれば概ね矯正視力1.0以上であれば正常と判定する。1.0未満であっても、板付きレンズやピンホール板などを利用し、1.0以上の視力を得られるかを確認する。