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・Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎ってどんな病気なの?
と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。
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Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎とは
Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎は1906年にFuchsにより報告された疾患概念で、虹彩異色(虹彩萎縮)、虹彩毛様体炎、白内障を3主徴とする疾患である。ほとんどが片眼性で、20~40歳代に多く、性差はない。
Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎の原因
原因は明らかではなく、下記のような説がある。
- 変性疾患説:虹彩萎縮があるため。
- 感染症説:トキソプラズマやHSV(単純ヘルペスウイルス)などの感染によるため。
- 血管異常説:Amsler sign(前房穿刺時に隅角より出血)があるため、虹彩や隅角に新生血管が関与しているのではないかと考えられている。
- 風疹ウイルス説:近年注目されている説の一つ。前房水に風疹ウイルスゲノムが検出された報告や、風疹ウイルス抗体価の上昇が見られたため。
Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎の症状
発赤や眼痛など自覚症状は伴わない。若年者で急速に進行する片眼性の後嚢下白内障を認めた場合は本症例を疑う。虹彩萎縮(異色)、虹彩毛様体炎を認めるが、眼内炎症は乏しい。
Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎の診断
特異的な検査なく、診断は眼所見から判断する。
- 前房炎症は軽度だが、慢性の経過をたどる。
- びまん性にKPs(角膜後面沈着物)が広がる。
- 日本人では虹彩異色が分かりづらい。その場合は虹彩輪や虹彩紋理が健眼に比べて不明瞭になる。萎縮はびまん性に認める。ヘルペス感染は部分的な萎縮なため異なる。
- Koeppe結節やBusacca結節を認めることがあるが、通常虹彩後癒着は認めない。
- 隅角に新生血管がみられ、蛍光虹彩造影で虹彩血管に異常が見られる。
- 前房穿刺時に前房出血がみられる(Amsler’s sign)ことがある。
- 15-20%の症例に緑内障を合併する。
- 稀に嚢胞様黄斑浮腫(CME)や周辺の網膜血管炎を認めることがある。
Fuchs(フックス)虹彩異色性虹彩毛様体炎の治療
原則としては無治療で経過観察でよい。前房炎症はステロイドに対してほとんど反応しないため、長期投与することで副作用発現しないよう注意する必要がある。併発する白内障は術後比較的良好である。
また、緑内障が続発することはあるが、ステロイド使用によるステロイド緑内障と鑑別を要する。硝子体混濁の程度は様々であり、硝子体混濁の程度が強い場合は硝子体手術を行う。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 日本眼科学会雑誌第123巻 第6号:ぶどう膜炎診療ガイドラインより
- 眼科学第2版
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