はじめに
今回のこの記事はWhat’s in new 屈折矯正&白内障手術の講座で説明された3つのテーマ、
- コンタクトレンズ
- 近視進行予防
- 白内障手術
について順に説明して行こうと思います。
1.コンタクトレンズ
まず初めの講演は、あすみが丘佐野眼科の佐野研二先生による講演になっています。
今回はピギーバックレンズシステム(PBLS)について説明されています。
PBLSはディスポーザブルソフトコンタクトレンズ(DSCL)の上にハードコンタクトレンズ(HCL)を乗せるなど、2種類以上の性質の異なるコンタクトレンズ(CL)、またはCL型デバイスを組み合わせることで新しい機能を獲得したCLシステムです。
PBLSの欠点には上方視の際にレンズがズレ落ちたり、二枚のレンズを使用する煩雑さがありました。ところが、近年、保水性が高く、角膜形状対応能力の高いSCLおよび消毒不要なDSCLが登場しています。
PBLSは円錐角膜やドライアイ、血糖値センサー、ドラッグデリバリーシステムなどに利用されている。
2.近視進行予防
川崎医科大学眼科学の長谷部聡先生による講演です。今回は2つのテーマ①低濃度アトロピン点眼と②DIMS眼鏡についてです。
①低濃度アトロピン点眼
0.01%アトロピン点眼薬には、
- 平均60%の近視抑制効果が2年間持続した
- 点眼中止後のリバウンドの報告は少ない
- 問題となる副作用はほとんどない
という強みはあったが、
- 追加研究が先行研究のコントロール群からデータを借用した
- 眼軸長への抑制効果は見られなかった
という弱みがあります。
②DIMS眼鏡
Defocus Incorporated Multiple Segments(DIMS)は、PolyU検眼学校のCarly Lam教授とElderly Vision HealthのHenry G. Leong教授、Chi-ho教授によって開発された。
眼軸長は66cmより近く(調節刺激1.5D)を見ると、調節ラグにより眼軸長は伸びてしまい、焦点が後方へデフォーカスされてしまう。結果として近視が進んでしまう。
DIMSレンズは、近視、乱視などを矯正する中心光学ゾーンと、継続的に近視を矯正するマルチ・セグメントにより構成されています。DIMSレンズは、はっきりした視覚を提供し、同時に視覚を矯正して近視の進行を遅らせることができます。
3.白内障手術
筑波大学の大鹿哲郎先生による講演です。
今回は3つのテーマ①低加入度数分節眼内レンズ②3焦点眼内レンズ③先進医療・多焦点眼内レンズについてです。
①低加入度数分節眼内レンズ
参天製薬から4月にレンティスコンフォートが発売された。これは遠中レンズとして知られ、コントラスト感度が落ちないため、移行部がわからないほどスムーズである。
また、グレア・ハローといった、眼内レンズによくある副作用は非常に少なく、また、後発白内障も非常に少ないとされる。
使い方のコツは、レンズが大きいためCCCは大きくする必要があるが、レンズの方向はどうであっても視機能は変わらない。ただし、急激な温度変化、特に冷→温となると光学部が一過性に可逆的に白濁する。よって、レンズは常に15度以上で保管することが重要である。
②3焦点眼内レンズ
アルコンからのPanOptixは既に承認されており、出荷は2019年後半の予定となっている。先進医療IOLを席巻し、個人輸入IOLを駆逐する可能性がある。
③先進医療・多焦点眼内レンズの行方
これまでの先進医療での評価は、グレア、ハロー、waxy vision、コントラスト低下なのの不具合は一定の割合で発生しており、不満例は全体の6.7%であった。その不満症例のうち4〜7%では眼内レンズ摘出が行われている。
術前検査ではどういう症例が不満か分からないため、このまま保険導入すると不満例が続出する可能性がある。2020年3月には、多焦点眼内レンズの先進医療評価は終了になる可能性が高いが、現時点では何も決まっていない。