目に関するブログ

漢方は目の病気に効くのか?

漢方は西洋医学で解決できないような全身の不調などに効果がありますが、西洋医学の教育を受けた僕としては馴染みがありませんでした。

そこで、「今回は漢方が眼科の病気に効果があるのか?」という疑問から論文を一つ紹介します。

論文の内容

今日紹介する論文は島根大学のSeiji Hayasakaらが2012年に発表した論文です。

Traditional Japanese Herbal (Kampo) Medicines and Treatment of Ocular Diseases: A Review(漢方と目の病気の治療)

早速ですが論文の結果です。

Oral Orengedoku-to and Kakkon-to inhibit postoperative uveitis in humans. Oral Goshajinki-gan improved ocular surface disorders in patients with type 1 diabetes mellitus. Oral Hachimijio-gan increased retinal blood flow. Keishi-bukuryo-gan Sho might be associated with vitreoretinopathy in patients with type 2 diabetes mellitus. Oral Hachimijio-gan and Goshajinki-gan delayed lens in rats and mice. Oral Sairei-to, Orengedoku-to, Senkanmeimoku-to, Scutellariae radix extract, Gardeniae fructus extract, topical Liguisticum wallichii rhizoma extract, and intravenous injection of tetramethylpyrazine, baicalin, baicalein, wogonin, and crocetin inhibited some forms of experimental uveitis in rabbits. Topical glycyrrhizinate improved allergic conjunctivitis in humans and rats. Oral crocetin improved eyestrain in humans. Oral berberine diminished experimental uveitis in rats. Baicalein, wogonin, berberine, and berberrubine inhibited in vitro expression of several cytokines in cultured retinal pigment epithelial cells.

まとめますと、

  • 黄連解毒湯と葛根湯の経口摂取は術後ぶどう膜炎を予防する
  • 牛車腎気丸は1型糖尿病の前眼部の障害を改善する
  • 八味地黄丸は網膜血流を増加させる
  • 桂枝茯苓丸は2型糖尿病の硝子体網膜症に関連がある
  • 八味地黄丸と牛車腎気丸はレンズの混濁形成を遅らせる(マウス、ラット)
  • 柴苓湯と黄連解毒湯、洗肝明目湯などは実験上の何種かのぶどう膜炎を予防した(ウサギ)
  • 局所グリチルリチン酸はアレルギー性結膜炎を改善する(人、ラット)
  • クロセチンは眼精疲労を改善する
  • ベルベリンはぶどう膜炎を減少させた(ラット)
  • バイカレイン、ワゴニン、ベルベリン、ベルベルビンは培養された網膜色素上皮細胞においていくつかのサイトカインの発現を予防した

感想は「めっちゃ分かっていることが多い!」です。

ただ、人間レベルではまだ実証されていないこともあったり、病気自体が専門的な病気であるためなかなか素人が手をつけれません。

そんな中でも、眼の症状に悩む人に使えそうなのは八味地黄丸クロセチンかなと思います。

それ以外の漢方はあくまでも効果がありそうくらいの理解にとどめておくのが良いでしょう。

参考文献

The American journal of Chinese medicine 40 (05), 887-904, 2012

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