網膜疾患

黄斑円孔

早速ですが皆さんに質問です。眼科を受診して医師に

doctorK
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網膜(あるいは黄斑)に穴が空いています。手術しないと治りませんよ

と言われたことはますか?それはもしかしたら、タイトルにある黄斑円孔という病気かもしれません。今回の記事はそんな黄斑円孔について取り上げたいと思います。僕のブログではこのように皆さんの目の健康に役立ちそうな記事を書いています。

黄斑円孔とは

網膜の中心には黄斑という場所があり、そこに穴があいてしまう病気が黄斑円孔という病気です。この病気は高齢者(60歳代前後)、特に近視の人に多いとされています。

アジアでは近視が9割近くになる地域もあり(スマホで近視はますます増える可能性!?96.5%が近視で悩む国も)、今後は患者さんが増えてくるかもしれません。その他にも外傷による黄斑円孔などもあります。

黄斑円孔の症状

黄斑は視力を出すのに最も重要な部位です。ここに穴が開いてしまうため、視力低下や視界が歪んで見える(歪視症)という症状がでてきます。

黄斑円孔の分類

黄斑円孔はその穴の状態によって分類されています。詳細は教科書を読むと分かりやすいかと思いますが、ここでは簡単にまとめます。最近はOCT(光干渉断層計)の進歩により、黄斑円孔の分類がより詳しくできるようになりました。現在、黄斑円孔の分類は全部でstage1-A~stage4の5段階に分かれています。

stage1-A:中心窩の嚢胞
stage1-B:嚢胞の後壁の破綻と外総円孔形成
stage2:前壁の裂隙形成と弁状の牽引、円孔周囲の網膜内に嚢胞様浮腫が生じる
stage3:弁が遊離して蓋を形成する
stage4:後部硝子体剥離が生じたもの

黄斑円孔網膜剥離

黄斑円孔を原因裂孔とする網膜剥離で、正視眼では稀だが、強度近視眼で生じることがある。硝子体の液化が進むと、薄い後部硝子体皮質が収縮し、その結果網膜剥離を生じる。

症状は視力低下であるが、後極部の網脈絡膜萎縮が強い症例はもともと視力が悪い。よって、限局性網膜剥離の段階では自覚せず、広範囲の胞状剥離になって初めて気づくことも多い。

黄斑円孔の治療

黄斑円孔は上記の分類によって、手術をするかどうかを判断します。黄斑円孔のステージ1は自然経過で症状が改善してくることがあるため手術の適応ではありません。

しかし、ステージ2~4の黄斑円孔に対しては手術を行います。とはいえ、ステージ1では必ず手術をしない、逆にステージ2~4では必ず手術をするわけではありません。患者さんの状態に応じて異なりますから、医師とよく相談することが重要です。

さて、黄斑円孔の治療は硝子体手術という手術を行います。どのような手術かは詳細は割愛しますが、簡単に説明すると網膜の最も内側にある内境界膜という薄い膜を剥がし、その膜を用いて黄斑円孔で開いた穴を塞ぎます。最後に、塞いだ膜が取れないよう ガスを入れます。このガスは軽いため、うつぶせ寝の姿勢で術後数日間は過ごしてもらいます。

よく分からないなあ・・・
ななし
ななし

という声が聞こえてきそうなので、今回も数多くの手術をされているレトロゲーム先生(@segazukiman)に動画協力していただいていますので、下記の動画をご覧ください。

黄斑円孔の手術
提供:レトロゲーム先生(@segazukiman

無事手術を終え、1週間から10日程度で徐々に視力が回復していきます。その治りは個人差があり、一概には言えませんが、1回手術をすれば生活で支障がない程度まで視力は回復することが多いです。

ところが、患者さんの中には手術の合併症が出ることがあります。網膜裂孔や網膜剥離、白内障等の合併症も出ることがあるため、手術後も定期的な受診をしていただくことになります。 

手術後少し経ったけど、見えづらくなってきたな
ななし
ななし

このような症状が出てきたら必ずかかりつけの眼科医に相談するようにしてください。また、手術の進歩により黄斑円孔が再発する恐れは減ってきていますが、反対側の目にも約1割の方は黄斑円孔を発症するとされています。

黄斑円孔網膜剥離に対しては硝子体手術(に加えて内境界膜剥離(2~3乳頭径)+ガスタンポナーデ)行われることが多いが、再手術例や難治例には黄斑バックリング術を行う。通常の裂孔原性網膜剥離に比べて(90%以上)、復位率が70%程度と低い。

おわりに

黄斑円孔という病気を聞いたことがある方はほとんどいないとは思いますが、冒頭で「この病気は高齢者(60歳代前後)、特に近視の人に多い」と言いました。今後、高齢化の影響から60歳前後の数は増えます。

さらに、スマホやパソコン等の近見作業が仕事の中心になり、ますます近視の人も増えます。このような背景もあり黄斑円孔の患者は増えていくことでしょうし、今まさに黄斑円孔の治療中という方もいらっしゃるでしょう。この記事がそういった方のお役立てば幸いです。それではまた次回の記事でお会いしましょう!

参考文献

  1. 三和化学研究所HP
  2. 身につく眼底検査のコツ
  3. クローズアップ網膜診療

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学生時代より執筆活動を始め、現在まで500本以上の医療記事を執筆しました。現在は眼科医として勤務しながら、自身の記事をアップするため『オンライン眼科』を設立しました。お仕事依頼は問い合わせページからお願いいたします。