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春季カタル | オンライン眼科
結膜とその疾患

春季カタル

春季カタル

春季カタルとは

春季カタルは、結膜に増殖性変化(結膜巨大乳頭、輪部増殖)を認めるⅠ型アレルギー反応を基盤としたアレルギー性結膜疾患を言う。眼瞼型と輪部型、混合型に大別される。

  • 眼瞼型:上眼瞼結膜の乳頭増殖と増大(巨大乳頭を認める
  • 輪部型:輪部堤防状隆起Trantas斑を認める
  • 混合型:眼瞼型+輪部型

原因としてはハウスダスト、ダニが多い。また、アトピー性皮膚炎を伴うことも多く、20代男児に多いとされる。

春季カタルの症状

1.自覚症状

瘙痒感や異物感よりも、眼痛を訴えることが多い。重症例では視力低下を認めうる。

2.他覚所見

春季カタルの臨床的特徴は点状表層角膜症、角膜びらん、遷延性角膜上皮欠損、シールド潰瘍、トランタス斑など角膜病変を認める点である。春季カタルの結膜増殖性変化は上眼瞼結膜に生じることが多いため、これら角膜病変も上方に生じやすい。血清や涙液中総IgE抗体の増加、血清抗原特異的IgE抗体や結膜での好酸球陽性率も高い。

シールド潰瘍(AAO HPより引用)

トランタス斑 HPより引用

春季カタルの治療

抗アレルギー点眼薬だけで効果不十分な中等症以上の症例に対して、免疫抑制点眼薬
追加投与する。この2剤で症状の改善がみられない重症例に対しては、ステロイド点眼薬を追加投与する。症状に応じてステロイドの内服薬や瞼結膜下注射、外科的治療も試みる。

症状の改善後はステロイド点眼薬を低力価に変更、または点眼回数を漸減・中止する。その後は抗アレルギー点眼薬・免疫抑制点眼薬の2剤で治療し、寛解期間が長くなれば、免疫抑制点眼薬のプロアクテイブ療法や抗アレルギー点眼薬のみでコントロールする。

ただし、春季カタルは若年者に多く、ステロイドレスポンダーは若年者に多いことからステロイドを使用した場合は定期受診と眼圧測定が重要となる。また、ステロイド内服薬は成長障害をきたすことがあり、小児の場合は短期間の処方とする。

プロアクテイブ療法

充分な薬物治療後に再燃を避けるため、投与量を症状をみながら減量していき、最終的には少量の維持量を続ける治療のことである。1日2回の使用で臨床症状が治まった場合、再発防止のために1日1回、週3回と使用を継続する投与法である。

免疫抑制薬について

免疫抑制薬はT細胞を制御することで、ステロイドと同様、免疫抑制によるアレルギーの沈静化が期待できる。また、ステロイドと異なり、眼圧上昇や白内障の惹起などの心配がないという利点がある。

タクロリムスには角膜上皮障害を制御できる可能性があり、ステロイド投与群と有意差を認めなかった。副作用を鑑みると、タクロリムスが効果的かもしれないが、タクロリムスは免疫抑制効果がシクロスポリンよりも強い

そんな免疫抑制薬は眼部異物感、熱感、違和感などの副作用を認めることがあり、その発生頻度はタクロリムス点眼で比較的高い。これはシクロスポリンと比較して、タクロリムスの方が㏗の影響による眼部熱感、眼刺激感の頻度が高いためとされる。

また、タクロリムス点眼薬により血中濃度は上昇しない。ただし、重篤な副作用の報告は現時点でないが、長期使用における安全性の面で今後の報告が待たれる。

参考文献

  1. 眼科学第2版
  2. 細隙灯顕微鏡用語活用アトラス事典
  3. 今日の眼疾患治療指針 第3版
  4. 眼科と薬剤(2019年9月臨時増刊号)
  5. アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)

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