角膜とその疾患

水疱性角膜症

水疱性角膜症とは

角膜内皮細胞はバリア機能と能動輸送機能とによって角膜実質内の含水量および角膜厚を一定に保持している。しかし、角膜内皮細胞には分裂能がなく、加齢および手術等でその数が減少することがある。細胞が減少し、細胞密度が500~800/mm2以下になると、角膜内皮細胞の機能不全により角膜浮腫をきたす。この病態を水疱性角膜症という。

水疱性角膜症の原因

  • レーザー虹彩切開術約4分の1を占め、レーザー照射後平均6.8年で生じる。ほとんどがアルゴンレーザー単独使用例とされる。日本は多いとされている。
  • Fuchs角膜内皮ジストロフィなど角膜ジストロフィ
  • 白内障手術、緑内障手術

など

水疱性角膜症の所見

細隙灯顕微鏡にて角膜上皮に水疱形成と、角膜実質浮腫のため角膜厚の増加(正常は中心厚520μm)や濃淡のない白濁を認める。デスメ膜皺壁もみられる。

水疱性角膜症の治療

保存的治療として高張食塩水点眼や疼痛緩和目的の治療用コンタクトレンズ装用がある。

外科的治療として全層角膜移植あるいは角膜内皮パーツ移植(DSEAKなど)が行われる。DSEAKは適応が拡大してきているが、極度に進行した水疱性角膜症で血管侵入や実質の瘢痕性混濁が生じている症例ではその改善が難しいため、その場合は全層角膜移植が適応となる。

DSEAK(Descemet’ stripping automated endothelial keratoplasty)

ドナー角膜の角膜内皮細胞層を含んだ深層組織をマイクロケラトームなどで切り出して移植片を作成する。レシピエント角膜のDescemet’s膜を剥離し、移植片を小切開創から前房内へ挿入して角膜後面に貼り付けて移植する方法をDSEAKという。

水晶体摘出術後の水疱性角膜症をABK(aphakic bullous keratopathy)、眼内レンズ(IOL)挿入術後に発生する水疱性角膜症をPBK (pseudophakic bullous keratopathy)という。

原因としては手術時の角膜内皮障害による場合と、IOLが角膜内皮と接触することによる場合がある。過去に使用されていた虹彩支持型レンズや前房レンズでは、術後数年を経て、レンズと角膜内皮が接触することで生じるものが多かった。後房レンズでは術前から存在する角膜内皮障害が悪化したり、手術時角膜内皮に接触して障害されることがある。不可逆的な障害であるため、視力回復には全層角膜移植が必要となる。

水疱性角膜症の予後

移植手術を行った後も、長期的には角膜内皮細胞密度は徐々に減少していくため、注意深く経過観察する必要がある。また、DSEAKの方が全層角膜移植よりも拒絶反応発症率は低いとされる。

参考文献

  1. 細隙灯顕微鏡用語活用アトラス事典
  2. 角膜クリニック第2版
  3. 今日の眼疾患治療指針第3版

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