角膜とその疾患

神経麻痺性角膜症

神経麻痺性角膜症とは

角膜知覚神経(三叉神経第1枝)麻痺により生じる角膜障害を神経麻痺性角膜症という。角膜に存在するサブスタンスPやカテコールアミン、アセチルコリンなどの神経伝達因子による制御が失われ、角膜上皮障害を生じるとされる。

神経麻痺性角膜症の原因

  • 三叉神経麻痺:反射性の涙液分泌低下、瞬目不全
  • 感染性(単純ヘルペス角膜炎、帯状ヘルペス角膜炎)
  • 角膜ジストロフィ(顆粒状角膜ジストロフィ、格子状角膜ジストロフィ)
  • 全身性疾患(糖尿病)
  • 医原性(角膜切開,毛様神経節ブロック)
  • コンタクトレンズ
  • 点眼薬毒性(抗緑内障薬、非ステロイド性抗炎症薬、スルファセタミド、麻酔薬)
  • 化学物質(硫化水素、二硫化炭素など)

神経麻痺性角膜症の症状

視力低下、結膜充血、眼脂などを認めるが、疼痛は自覚しないことが多い。

神経麻痺性角膜症の診断

Cochet-Bonnnet角膜知覚計などを用いて角膜知覚の低下を検出することが必須とされる。また、涙液の異常、上皮細胞の細胞分裂障害によって点状表層角膜症が生じ、角膜びらん~角膜潰瘍へと発展する。角膜びらんまで進行するとびらん周囲の上皮細胞の盛り上がり(rolled-up edge) を特徴的所見とする遷延性角膜上皮欠損、細胞浸潤および血管新生が生じる。

神経麻痺性角膜症の治療

基本的な治療は対症療法であるが、一般的には難治である。対症療法で治療困難であれば、サブスタンスPとインスリン様成長因子―1の合剤点眼、フィブロネクチン点眼、神経成長因子点眼、血清点眼、臍帯血点眼などの有効性が報告されており、それら治療が行える施設にコンサルトが必要な場合もある。

参考文献

  1. 細隙灯顕微鏡用語活用アトラス事典
  2. 今日の眼疾患治療指針第3版

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オンライン眼科編集長兼眼科医プロライター/祖母の死→医師を目指す→一浪し眼科医/プロライターとしても500以上の記事を執筆/目の健康、眼科に関する記事をほぼ毎日作成/一緒にお仕事して下さる方はDMして下さい!目の健康に関する情報よ全国へ届け!