網膜とその疾患

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)

ドクターK
ドクターK
・中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)ってどんな病気?

と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)とは

中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)は黄斑部に漿液性網膜剥離が生じ、視力低下や中心暗点などの症状をきたす疾患である。

漿液性網膜剥離の原因は、網膜色素上皮の血液網膜関門の破綻が起こり、ここを通して脈絡膜から網膜下腔に液体成分が漏出するため漿液性網膜剥離が生じるとされる。

30~50歳の男性に多く)、片眼性が多い(高齢ほど両眼性となる)。原因は明らかではないが、ストレスステロイドが増悪因子とされる。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の症状

主な症状は視力低下や中心暗点、変視症、小視症である。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の分類

1.急性CSC

ほとんどのCSCが急性CSCであり、ドーム状の漿液性網膜剥離であることが多い。数カ月で治癒し、その視力予後は比較的良好とされる。12カ月以内の再発は30~50%と言われている。

2.慢性CSC

3~6カ月以上続く漿液性網膜剥離で、視力低下を伴う丈の低いびまん性の漿液性網膜剥離である。広範囲なRPE異常を伴い、高齢者ほど慢性、両眼性が多いとされる。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の診断

  • 黄斑部に漿液性網膜剥離、脈絡膜(ハーラー層)肥厚のため紋理が不鮮明になる。
  • 色素上皮剥離、剥離網膜後面の白色点状沈着物
  • FAの蛍光漏出部に一致した点状、噴水状、びまん性蛍光漏出

上記が診断のポイントとなる。

1.FA

色素上皮レベルの点状蛍光漏出(点状、噴水状、びまん性)が基本所見とされる。造影初期には点状過蛍光、時間とともに拡大し、網膜下に貯留する。

2.インドシアニングリーン蛍光造影検査(IA)

充盈遅延、脈絡膜血管の透過性亢進、拡張(静脈血管)による造影中期の過蛍光が特徴的である。

3.光干渉断層計(OCT)

漿液性網膜剥離と色素上皮剥離が明瞭に描出される。

4.自発蛍光

急性のCSCでは漿液性網膜剥離と一致した部位に低蛍光、漿液性網膜剥離の内部の点状過蛍光、慢性のCSCではRPE萎縮による低蛍光など様々な所見を認める。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の治療

有効性が確認されている薬物治療はないが、ほとんどの症例で視力正常または軽度低下のみで自然寛解する。よって、基本的には経過観察にて数カ月で漿液性網膜剥離は消失する(90-95%)が、4か月で視細胞障害を生じることがある。また、ステロイドなど原因を除去できないかも考慮する。

再発例のうち視力障害があれば、中心窩外ならレーザー光凝固を行うこともあるが、再発率や最終視力には影響しないとされる。また、慢性CSC(6カ月以上経過したCSC)は光凝固をしても再発が多いとされる。なお、光凝固の程度は、網膜深層に淡い灰白色の凝固斑が得られるような弱凝固で行う。

その他にも、PDT、Microsecond laser、Subthreshold microsecond-pulsed laser、Selective retina therapy(SRT)などがある。

慢性CSCに対して適応外だがPDTを行うことで、異常な脈絡膜血管の透過性が抑制されるため、RPEのバリア機能が回復し、網膜下への漏出は停止する。結果として、脈絡膜肥厚が改善、ハーラー層の血管面積が減少し、それが維持され、再発率も低くなるとされる。

その他にも、藤田らの報告によれば、慢性CSCに半量PDT(ベルテポルフィン投与量半量)を行った治療1年後には、89.2%の症例で漿液性網膜剥離が改善し、著明な視力低下は1例もなく、平均視力は治療前と比較して有意に改善したという報告がある。

SRTは神経網膜及び脈絡膜に障害を与えず、RPE細胞のみを標的とできるレーザーで、保険収載されていないが、CSCに対する臨床試験が行われている。光凝固よりも低侵襲であり、酸化ストレスもより低いとされる。

CSCスペシャリストにアンケートによるアンケート(2017年Mehtaら)

  • 急性CSCでは、79.1%が3カ月まで経過観察を行い、その後の治療にPDTを選択した。
  • 慢性CSCでは、66.7%でPDTを選択するが、45.9%で1カ月様子を見ると回答した。
  • 38.2%でmicropulse laserを治療の選択肢にしていなかった。
  • 多くの専門家は、遷延する症例には積極的に治療すべきと考えているとの記載もある。

CSCに対する治療介入の問題点(2020年臨床眼科学会)

  • 視力が良ければ治療の必要はない?
    →視力が良くても網膜感度低下は起こる。治療介入の基準に視力だけでは不十分
  • CSC発症後早期では治療の必要はない?
    →多くは自然治癒傾向で治療の必要はないが、漿液性網膜剥離の遷延や再発が見られる慢性例では治療すべき
  • 治療上で問題となるのは合併症による視力低下
    →合併症が起こりにくければ、循環改善薬内服など柔軟な対応が可能である。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の予後

網膜下腔液が吸収されれば、症状の多くは改善するが、小視症コントラスト感度低下は残ることもある。また、慢性的に再発を繰り返す場合は視力不良例が多い。

参考文献

  1. 網膜硝子体case20study
  2. 今日の眼疾患治療指針 第3版
  3. 第74回日本臨床眼科学会シンポジウム13眼底と対応させた視機能評価:眼底視野計、眼底対応視野計
  4. あたらしい眼科Vol.37,No.2,2020

関連記事

加齢黄斑変性症(AMD)加齢黄斑変性症は主要先進国において失明原因の第1位で、日本でも第4位(70歳以上の高齢者で限定すると第1位)です。特に50歳以上の方で、物が歪んで見えたり、視野の真ん中の視力が下がったという症状がある方は一度眼科を受診しましょう。...

ABOUT ME
ドクターK
オンライン眼科編集長兼眼科医プロライター/祖母の死→医師を目指す→一浪し眼科医/プロライターとしても500以上の記事を執筆/目の健康、眼科に関する記事をほぼ毎日作成/一緒にお仕事して下さる方はDMして下さい!目の健康に関する情報よ全国へ届け!