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高血圧性眼底 | オンライン眼科
全身疾患と目

高血圧性眼底

高血圧性眼底とは

網膜動脈は直接観察できる血管で、その異常から全身の動脈の状態を推察することも可能である。高血圧によってその網膜動脈は、器質的あるいは機能的に変化することがある。高血圧の1割は腎性・内分泌性高血圧など原因が特定される二次性高血圧だが、9割は本態性高血圧であり、原因不明である。

高血圧は動脈硬化に先行し、高血圧に動脈硬化を合併すると血管抵抗はさらに上昇し、高血圧を促進する。高血圧に合併する眼底所見は機械的な血管けい縮性変化と、器質的な硬化性変化に大別できる。血管けい縮性変化は、Scheie分類にもあるように慣例的に高血圧性変化と呼ばれている。

若年者の二次性高血圧では急速であるためこの血管けい縮性変化が多いとされる。一方、中高年の本態性高血圧症は緩徐に進行するため、動脈硬化性変化が強く出る傾向にある。

高血圧脈絡膜症

脈絡毛細血管板における広範囲で急激な虚血によって生じる。漿液性網膜剥離Elschnig斑とを眼底所見の特徴とする。急性期には網膜深層の黄色斑が見られ、急性Elschnig斑という。高血圧症網膜症と同時に発症することが多い。血圧コントロールで、漿液性網膜剥離は徐々に消退、急性Elschnig斑も鎮静化して、色素の集積や脱失を伴う網脈絡膜萎縮となる。FAで、急性Elschnig斑は充盈遅延および蛍光漏出が見られる。

West Coast Retina HPより引用

高血圧性眼底の症状と所見

1.血管けい縮性変化

細動脈の機能的(可逆的)狭細化・口径不同

網膜動脈狭細化は高血圧の発症に先行し、網膜動脈が限局性に狭細化する。狭細化の重症度は判定基準に基づいて、その狭細の重症度が決まる。口径不同があれば最近、高度な血圧上昇があったことを示唆する。

狭細の判定基準

急激に発症した重症高血圧だと、網膜細動脈の強い収縮状態によって循環不全が生じ、多発性の微小梗塞や細小静脈血栓を基盤として、網膜実質への虚血性・滲出性変化を生じる。これを血管けい縮性網膜症と呼び、網膜出血、硬性白斑、軟性白斑、網膜浮腫、乳頭浮腫などを認める。

2.細動脈硬化性変化

中膜平滑筋細胞の変性壊死と中外膜の線維性肥厚による血管内腔の器質的(不可逆的)狭窄である。慢性に経過した高血圧における血管抵抗増大が主因としてある。口径不同を伴わないびまん性の狭細化を認める。また、眼底検査において生理的に血管壁は透明であるため血栓表面の反射が見える。細動脈硬化が始まると反射が太くなるが、その反射幅が血管径まで拡大すると銅線動脈と呼び、さらに脂質沈着に伴い白みがかった光沢を増す。この動脈を銀線動脈という。

交叉現象

動静脈交叉部での静脈の異常所見で、中外膜の線維性肥厚により硬化した動脈が、静脈を圧迫・狭細させる。この交叉現象は高血圧が長期間持続していたことを示唆する。

判定基準

正常:V2/V1=1以上
軽度:V2/V1=0.5~1.0
中等度:V2/V1=0~0.5
高度:V2/V1=0

Siergrist線条

悪性高血圧に関わるフィブリン様壊死を示唆する所見で、脈絡膜血管に沿って出現する線上の色素変化である。

高血圧眼底の分類

Scheie分類

網膜血管の変化を高血圧性と動脈硬化性に大別し分類する。シンプルで簡便なため汎用されている。

Keith-Wagener分類慶大変法

Keith-Wagener分類は本態性高血圧について内科的所見(血圧・腎機能など)・生命予後を眼底所見と関連付けた分類で、この分類に改変を加えた本態性高血圧の眼底分類である。

Wong-Mitchell分類

Scheie分類とKeith-Wagener分類慶大変法の4段階の病期のうち、初期2段階の変化は眼科医でさえ日常診療で明確に分類することは容易ではない。これは高血圧と相関が乏しいとされる。

また、初期から後期まで存在する細動脈狭細化は、機能的な血管けい縮性変化なのか器質的な動脈硬化性変化なのか、厳密に区別することが不可能な場合も多い。よって、Scheie分類のように高血圧性と動脈硬化性の二本立てに分けて記載することは必ずしも理に適っていない。以上を踏まえて、Wong-Mitchell分類ではよりシンプルに軽症・中等症・悪性の3段階にまとめられている。

高血圧性眼底の治療

内科医へ血圧コントロールを依頼する。

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 今日の眼疾患治療指針 第3版
  3. 眼科学第2版

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