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アトピー性皮膚炎に伴う眼科 | オンライン眼科
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アトピー性皮膚炎に伴う眼科

ドクターK
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・アトピー性皮膚炎に伴う眼科ってどんな病気なの?

と疑問をお持ちの方の悩みを解決できる記事になっています。

アトピー性皮膚炎と眼科

アトピー性皮膚炎は「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒感のある湿疹を主病変とする疾患で、患者の多くはアトピー素因(家族にアトピー性皮膚炎がいる、既往歴に喘息などがある)を持つ」と日本皮膚科学会では定義されている。

特に、罹病期間が長く、皮疹が頭部・顔面付近だと眼合併症の患者数は増加する傾向にある。

アトピー性皮膚炎に伴う眼合併症一覧

  • 眼瞼炎:6%
  • 角結膜炎:有病率25.0%~67.5%
  • 円錐角膜:有病率0.5%~3.3%
  • 白内障:有病率8~24%
  • 網膜剥離:有病率2.1~8.0%
  • ヘルペス性眼瞼炎:不明

1.アトピー性皮膚炎に伴う眼瞼炎

アトピー眼瞼炎はアトピー性皮膚炎が眼瞼および眼瞼周囲に生じたもので、乳児型・幼児型、成人型がある。乳児型・幼児型ではびらん、痂疲化、浸潤性紅斑、亀裂、鱗屑などが病変の主体である。一方、成人型は苔癬化病巣が高度で、眉毛部外側1/3-1/2の脱毛または疎毛化(Hertoghe徴候)、下眼瞼内側の皺壁(Dennie-Morgan徴候)、眼瞼皮膚の色素沈着による黒色化などが特徴的な所見とされる。

眼瞼炎の治療

軽度であれば洗顔とスキンケアが推奨される。特に、エモリエント効果が期待できる白色ワセリンヘパリン類似物質クリームなどが保湿剤として用いられる。中等度~重症になればスキンケアに加えてステロイド眼軟膏を1日2回程度使用する。この時、フラジオマイシン硫酸塩含有のものは接触皮膚炎を生じやすいので避ける。また、ステロイド使用時は結膜嚢内にステロイド剤が迷入すると眼圧上昇を引き起こすことがある。

ステロイド眼軟膏で改善しないときは0.03%あるいは0.1%プロトピック軟膏を1日1~2回使用することがある。しかし、びらんが強いと熱感や刺激感により継続が困難な症例もある。そのため、ステロイド眼軟膏で皮膚の状態を良くしてからの使用が望まれる。また、改善した後は急に中止せず、1週間に2日程度1日1回塗布を続けるプロアクティブ療法が再燃の頻度を減少するとされる。

2.アトピー性皮膚炎に伴う角結膜炎

思春期以降に発症し、季節による変動はないため季節性アレルギー性結膜炎と区別する。球結膜・瞼結膜の充血・肥厚、瞼結膜の乳頭所見は時に春季カタルのようになることがある。さらに、角膜浸潤、混濁、潰瘍などを認めることもある。

治療は抗アレルギー点眼薬に加えて、適宜ステロイド点眼薬を使用する。一方、高額ではあるがステロイドの副作用を考慮して、免疫抑制剤のシクロスポリンやタクロリムスも有効とされる。

アトピー性角結膜炎(AKC)アトピー性角結膜炎は顔面にアトピー性皮膚炎を伴う患者に生じるアレルギー性結膜疾患のことです。この記事ではそんなアトピー性角結膜炎について解説しています。アトピー性角結膜炎について知りたい方は必見です。...

3.アトピー性皮膚炎に伴う円錐角膜

発症は16~22歳で、皮膚炎が悪化すると円錐角膜も悪化する。特に、強く眼瞼炎をこする癖がある場合、Descemet膜破裂により、急性水腫を生じることがある。ハードコンタクトレンズ(HCL)により矯正を試みるが、矯正が不可能な場合は角膜移植の適応となる。

4.アトピー性皮膚炎に伴う白内障

乳幼児には発症せず、思春期~青年期に生じる。眼掻痒感による物理的な殴打や、ステロイドによる白内障の進行による。水晶体はヒトデ状あるいはクローバ状の前嚢下混濁や後嚢下混濁を呈する。進行が急な場合もあり、数カ月で高度視力低下をきたすこともある。また、白内障治療のため白内障手術を行うが、術後における網膜剥離の発症頻度は通常の加齢白内障に比べて高いことが知られている。

5.アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離

特徴は10~20歳代が大半で、鋸状縁断裂、毛様体扁平部裂孔の頻度が高い(特に耳側)とされる。アトピー性皮膚炎の4~8%に合併する。特に、顔面叩打癖がある症例、および白内障合併例白内障術後症例での発症が多い傾向にある。発症年齢が若いため進行は遅く、扁平剥離が多いとされるが、胞状・全剥離も存在する。治療は年齢等を考慮して強膜内陥術あるいは硝子体手術を施行する。また、前述の通り、白内障合併も高率であるため白内障手術も併せて行うことがある。

6.アトピー性皮膚炎に伴う緑内障

重症アトピー性皮膚炎を伴う緑内障で、70%でアトピー白内障、30%で網膜剥離を合併する。このように他の合併症があると重症化しやすい。70%で著明な視野変化(Aulhorn分類3期以上)で、最高眼圧の平均値40mmHg、80%で観血的手術を要した。発症年齢は平均38歳で、4割が両眼性である。

7.外眼部感染症

A. 伝染性膿痂疹

黄色ブドウ球菌またはA群β溶血性レンサ球菌が原因で発症し、乳児期から小児期にかけて好発する。ブドウ球菌の場合には水疱型、レンサ球菌の場合には痂疲型となる。特に、ブドウ球菌性の水疱は、破れて広範囲に広がる傾向が強い。レンサ球菌性のものは、紅暈を伴う膿疱と堆積する厚い痂疲よりなる皮疹が同時期に多発するとともに、強い炎症所見を伴う。治療は抗菌薬の全身投与及び局所投与を行う。

B. カポジ水痘様発疹症

アトピー性皮膚炎に伴うものは、単純ヘルペスウイルス1型による汎発疹である。突然の発熱および倦怠感を伴って発症し、紅暈を伴い中心臍窩を有する小水疱が集簇して出現し、周辺へ播種状に拡大する。好発部位は顔面及び頚部で、3-4日で痂疲化する。

眼病変としては、急性濾胞性結膜炎や単純ヘルペスウイルス角膜炎の合併が見られる。両眼性多発性で、星状またはterminal bulbの所見に乏しい非典型的な樹枝状病変となる。治療はアシクロビル、バラシクロビルまたはファムシクロビルの全身投与が基本だが、角膜炎があればアシクロビル眼軟膏の局所投与を行う。

C. 伝染性軟属腫

ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚感染症で、小児に好発する。アトピー性皮膚炎に伴う伝染性軟属腫は、赤色調が強く、1-2㎜程度の半球状丘疹が多数かつ広範囲に散在する。好発部位は側胸部、側腹部、腋窩、陰部、四肢屈側である。眼瞼にあれば濾胞性結膜炎を併発する。経過観察が基本だが、アトピー性皮膚炎に伴う場合は自然治癒しにくい

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 今日の眼疾患治療指針 第3版
  3. 第74回日本臨床眼科学会シンポジウム20アトピー診療最前線
  4. アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第2版

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