全身疾患と目

先天風疹症候群

先天風疹症候群とは

風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性の疾患で、飛沫感染により伝播する。生ワクチンにより減少傾向であり、生後12~90か月未満の児は定期接種が定められている。

先天風疹症候群は妊娠初期に母体が風疹に感染し、経胎盤感染を起こした場合に起きる。妊娠初期に初感染を起こした場合は発生頻度が高く、妊娠20週までに初感染した場合には20~25%の割合で発症するとされる。ただし、1999年から2007年では発生数はわずか16例となっている。先天風疹症候群の三大症状は先天性心疾患、難聴、白内障(約50%)であるが、その他にも小眼球、低体重、脳性麻痺などを合併する。

また、先天風疹症候群の眼症候として、網脈絡膜炎を発症することがある。ごま塩状(salt and pepper)という特徴的な眼底所見を呈する。視機能はほぼ正常である。

Salt and pepper像
Research Gate HPより引用

その他、起こりうる眼合併症

  • 緑内障
  • 虹彩異常
  • 角膜混濁
  • 斜視
  • 眼振

先天風疹症候群の診断

先天性風疹症候群の診断には母親の風疹罹患歴、母子の風疹ウイルス抗体価の上昇の有無を調べる。IgM抗体は胎盤を通過しないため臍帯血、胎児血にIgM抗体があれば診断は確定的となる。

先天風疹症候群の治療

治療は対症療法だが、風疹白内障は術後合併症が多く、生後12~18か月以上経過後に施行した方が予後良好とされている。ただし、弱視をきたした場合は視力予後不良となるため、生後数か月以内に治療を行うことが望ましいとされる。予防方法としては、抗体価の確認妊娠前の風疹ワクチン接種とされる。

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 今日の眼疾患治療指針第3版
  3. 眼科学第2版

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