目の病気

甲状腺機能亢進症(Basedow病)に伴う甲状腺眼症

甲状腺機能亢進症(Basedow病)

Basedow病は甲状腺機能亢進による代謝症状に眼症状が伴う自己免疫疾患で、有病率は0.68%で、女性に多いとされる。診断は甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン、血中TSH受容体抗体価陽性などによって行われる。体重減少や動悸などの症状に加えて、眼球突出や眼球運動障害、眼瞼腫脹などの症状を伴う。

眼窩内球後後組織の線維芽細胞内に存在する甲状腺ホルモン受容体が抗原となり、眼窩組織にリンパ球浸潤を促し、マクロファージを活性化させることで起こる。

甲状腺眼症

Basedow病患者の約30%に下記症状を認める。

  • 眼球突出:若年者に多い。球後軟部組織の脂肪組織・外眼筋腫大により起こる。Hertel≧17mm or 左右差≧2mm
  • 眼瞼後退: 眼症の約80%に認める。Dalrymple徴候(上眼瞼後退)とGraefe徴候(下方視における上眼瞼の下転不全または下転遅延)で判定する。
  • 眼瞼腫脹:眼窩内圧↑→脂肪組織脱出。上眼瞼に多い。
  • 角結膜障害:瞼裂開大+涙液分泌↓、眼症の約30%に認める。角膜下方にSPK+。
  • 眼球運動障害:高齢者に多い。眼症の約20%、外眼筋の肥大、線維化や癒着により、眼球運動障害となり複視をきたす。MRIで下直筋と内直筋が肥大していることが多い。上転障害が一般的で、次いで下転、外転障害の順で多い
  • 視神経症:眼症の約10%、肥大した外眼筋が視神経を圧迫するため起こる。

甲状腺機能が正常でも甲状腺眼症をきたすことがある。

甲状腺眼症の検査

眼科的にはMRIを施行し、T1強調画像で外眼筋の形態を、STIR法で炎症の有無を見る。下斜筋以外の外眼筋の形態が分かるため冠状断は必須であり、また、軸位断で眼窩先端部が肥大した内外直筋が視神経圧迫していれば圧迫性視神経症が疑われる。

甲状腺眼症の治療

1.保存的治療

  • α遮断薬点眼(グアネテジン®):特効薬剤だが、個人輸入のみ。
  • β遮断薬点眼、ブナゾシン塩酸塩点眼(デタントール®)
  • A型ボツリヌス毒素注射:有効率は80~90%だが、繰り返し注射が必要。

 

  • 結膜浮腫、充血が強い→ステロイド点眼
  • 上眼瞼浮腫、上眼瞼後退症→ステロイドの局所注射
  • 眼窩組織の炎症による眼球突出、眼瞼腫脹→ステロイド球後注射、Tenon嚢下注射、ステロイド内服、ステロイドパルス療法
  • 圧迫性視神経症→眼窩減圧術、ステロイドパルス療法

2.放射線治療

軽度~中等度の炎症性病変→1回1.5~2.0 Gy で10回

3.手術治療

  • 上眼瞼後退に対して保存的治療を2~3ヵ月行って効果なし
    →眼瞼手術(Muller筋摘出術、上眼瞼挙筋後転術)
  • 眼窩炎症の活動性が1,2の治療で抑えられても第一眼位で複視+
    →眼筋手術(斜視手術+癒着剥離術)
  • 高度な眼球突出、片眼性の眼球突出、難治性の視神経症
    →眼窩減圧術(経上顎洞眼窩減圧術:眼球突出が3~5㎜程度改善し、視神経症を有する場合は90%以上が改善する)

参考文献

  1. クオリファイ5全身疾患と眼(専門医のための眼科診療クオリファイ)
  2. 今日の眼疾患治療指針第3版

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ドクターK
オンライン眼科編集長兼眼科医プロライター/祖母の死→医師を目指す→一浪し眼科医/プロライターとしても500以上の記事を執筆/目の健康、眼科に関する記事をほぼ毎日作成/一緒にお仕事して下さる方はDMして下さい!目の健康に関する情報よ全国へ届け!