脈絡膜とその疾患

近視性脈絡膜新生血管

近視性脈絡膜新生血管の疫学

発生機序は不明だが、近視性脈絡膜新生血管は病的近視において頻度が高く、強度近視患者全体の約10%に発症するとされる。視力予後は悪く、自然経過では5年で89%、10年で96%が視力0.1未満となる。近視性脈絡膜新生血管は高齢者における脈絡膜新生血管の原因として加齢黄斑変性症に次いで多い一方で、若年者では最多となる。

近視性脈絡膜新生血管の検査所見

1.検眼鏡的所見

  • 網膜下の灰白色病変
  • 網膜出血(加齢黄斑変性症のように濃くなりにくい

2.蛍光眼底造影検査(FA)

Classic CNVパターンを示すが、蛍光漏出はさほど強くないことも多い。

3.インドシアニングリーン蛍光造影(IA)

正確に脈絡膜新生血管の位置を把握できる。

インドシアニングリーン蛍光造影(IA)は出血によって蛍光漏出がblockされないため、出血を伴う疾患では重宝される。

4.光干渉断層計(OCT)

TypeⅡ CNVの脈絡膜新生血管の所見を呈するが、活動期であっても滲出性変化は強くない。

近視性脈絡膜新生血管の治療

近年はほとんど抗VEGF薬による加療が行われる。その他に、光凝固術や光線力学療法(PDT)も症例によっては行われる。

1.抗VEGF薬

2005年に初めて近視性脈絡膜新生血管に対して投与が行われて以来、全ての報告で視力改善効果を認めている

⇒2013年8月よりラニビズマブ(ルセンティス®)が保険適用となった。1回注射後必要に応じて追加投与を行う。ただし、投与に伴う急激な新生血管の退縮が網膜分離症の悪化や黄斑円孔網膜剥離の形成につながることがある。

2.光凝固術の課題

  • 一定の効果はあるが、下記の欠点のため現在は積極的には行われない
  • 近視性脈絡膜新生血管の再発率が高い
  • 新たなラッカークラック形成による新病巣誘導
  • レーザー部位の絶対暗点

3.光線力学療法(PDT)の課題

  • そもそも保険適用ではないため自費で行う
  • 視力悪化を防ぐことはできるが、改善を目的とした治療ではない

参考文献

  1. 黄斑疾患診療AtoZ

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