目の病気

角膜化学熱傷

角膜化学熱傷とは

化学物質が眼部に飛入することで、角膜や結膜が障害される。

急性期の初診時には、視力低下、結膜浮腫・充血、眼痛を伴うが、より重症の結膜壊死を伴う場合、結膜は白く浮腫状になる。

原因物質は酸、アルカリ、界面活性剤、有機溶媒などが挙げられる。

角膜化学外傷の臨床所見

酸性薬剤は組織透過性が低いため、障害が表層にとどまることが多い。

アルカリ熱傷はたんぱく質を融解して角膜深部に到達するため、短時間で深部まで障害を及ぼす。

角膜化学熱傷の急性期重症度分類

Grade1 結膜充血、角膜上皮欠損なし
Grade2 結膜充血、部分的角膜上皮欠損
Grade3a 結膜部分的壊死、全角膜上皮欠損、palisade of Vogt(POV)の一部残存
Grade3b 結膜部分的壊死、全角膜上皮欠損、palisade of Vogt(POV)の完全消失
Grade4 半周以上の輪部結膜壊死、全角膜上皮欠損、POVの完全消失

※POV:角膜上皮の幹細胞の存在する角膜輪部

Grade1~3aでは、角膜上皮が広範囲に欠損していても、輪部上皮は残っているため、いずれ角膜上皮は再生する。その点で予後は比較的良好である。

一方で、Grade3b,4では、角膜上皮は輪部上皮を完全に消失しているため、角膜上皮の再生は不可能で、結膜が角膜表面を覆うことになる。そのため、視力予後は不良である。

角膜化学熱傷の治療

十分な洗眼、残存異物の除去、適切な薬物治療が重要である。

受傷したらできるだけ速やかに水道水などの流水で10分以上洗眼する。その後、眼科来院時には生理食塩水などを用いて10~20分以上かけて、1~2L以上洗眼を行う。そして、可能なら眼表面のpHを確認し、残存異物を除去する。

感染予防のため、抗菌薬の局所・全身投与を行い、ステロイド点眼・内服による消炎やヒアルロン酸ナトリウム点眼なども併用する。また、炎症性の眼圧上昇に備えて、予防的にアセタゾラミド内服も投与する。

角膜上皮化の促進と痛みの軽減のため治療用コンタクトレンズを用いることもある。残存した角膜上皮幹細胞を温存し、上皮化を促進するために、急性期に行う羊膜カバーも有効である。

受傷1カ月以上経ても角膜上皮欠損が遷延する場合は、角膜上皮形成術(KEP)、角膜輪部移植、羊膜移植術など外科的治療を行う。

もし遷延性角膜上皮欠損から角膜穿孔を起こした場合、表層あるいは全層角膜移植が必要となる。

瘢痕化しても角膜混濁が残存する場合は下記のように治療方法を選択する。

  • 角膜混濁が中央部のみで、POVがある程度保たれている→表層あるいは角膜全層移植
  • POVが完全に消失し、角膜上を結膜組織が被覆している→KEPや輪部移植、羊膜移植で眼表面を再建した後、角膜移植を行う。この際、将来的に起こりうる内皮型拒絶反応を回避する目的で、可能な限りDALKを行うことが望ましい。

参考文献

  1. 今日の眼疾患治療指針第3版

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