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細菌性眼内炎とは
細菌性眼内炎は下記のように分類できる。細菌性眼内炎は進行が早く、時間単位で一気に感染や炎症が増悪する。
- 術後眼内炎:内眼手術や硝子体注射などを契機に起こる眼内炎
- 内因性転移性眼内炎:免疫不全を背景に化膿巣(肝膿瘍など)から血行性に感染した眼内炎で、血流豊富な脈絡膜や虹彩毛様体を介して眼内に感染する。次いで網膜や硝子体、さらに周囲組織へ感染が広がる。
- 外傷性眼内炎:穿孔性眼外傷による眼内炎
- その他の眼内炎:結核、梅毒など全身感染症に合併する眼内炎
細菌性眼内炎のリスクファクター
基礎疾患あるいは免疫不全状態にあり、特に肝膿瘍は眼内炎のリスクが高い。特に約7割の患者が基礎疾患として糖尿病を罹患している。かつて肝膿瘍の起因菌は大腸菌が多かったが、1990年代以降は肺炎桿菌が原因菌の8割以上となった。肺炎桿菌による肝膿瘍のうち約3~8%が眼内炎を発症するとされている。その他にも、大腸菌、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌属などが起因菌となりうる。
術後眼内炎の原因
- 術後4週未満:表皮ブドウ球菌を含むCNS、腸球菌、黄色ブドウ球菌
- 術後4週以降:アクネ菌、表皮ブドウ球菌
細菌性眼内炎の症状
発熱や全身倦怠感などが必発で、眼症状に先行する。8割以上が片眼性である。初期の自覚症状は飛蚊症、霧視、視力低下、眼痛、眼瞼腫脹などだが、全身状態によっては症状を訴えないこともある。
細菌性眼内炎の診断
内科医と連携し、全身検索を行う。また、眼科的には下記所見から診断する。
主な眼所見
- 眼瞼:発赤腫脹
- 結膜:非常に強い結膜・毛様充血、結膜浮腫・充血(炎症が高度な場合)
- 前房:炎症細胞+、フィブリン析出、前房蓄膿・出血
- 硝子体:硝子体混濁
※全眼球炎になると角膜穿孔、強膜穿孔をきたしうる。
細菌性眼内炎の治療
眼局所ならびに全身に抗菌薬投与、できるだけ早急に硝子体手術を行う。全身状態不良で手術等が行えない場合には、抗菌薬の硝子体内注射を行う。さらに、点眼、点滴、内服などを併用する。半数は無光覚や眼球癆になるが、網膜に感染が波及しなければ視機能の維持が可能となる。
炎症が前房内のみで、網膜血管が透見可能であれば、抗菌薬の点眼、結膜下注射、硝子体注射を行う。そうでなければ抗菌薬投与に加えて、硝子体切除、水晶体摘出、前房洗浄を早急に行う。
1.硝子体注射
塩酸バンコマイシン注 1㎎/0.1ml + モダシン注 2㎎/0.1ml
2.点眼
下記を併用する。
- クラビット点眼液(1.5%) 1日6回点眼
- ベストロン点眼用(0.5%) 1日6回点眼
- リンデロン点眼・点耳・点鼻液(0.1%) 1日6回点眼
3.全身投与
下記を併用する。
- チエナム注射 1回1g 1日2回 点滴静注5日間
- クラビット錠500㎎ 1錠分1 5日間
参考文献
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