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先天無虹彩とは
先天的に虹彩が無い、あるいは根部が痕跡程度しかない状態で、約5~10万人に1人の頻度で発症する。男性に多く、両眼性が60~90%とされ、全体の2/3は常染色体優性遺伝(PAX6遺伝子が関与)とされる。
PAX6遺伝子はWT1遺伝子と隣接している。WT1遺伝子はWilms腫瘍の原因遺伝子であるため、先天無虹彩とWilms腫瘍が合併する隣接遺伝子症候群(11p13欠失症候群=WAGR症候群)をきたすことがある。
孤発例の30%はWilms腫瘍を5歳までに発症する。逆にWilms腫瘍の1.4%は無虹彩である。
先天無虹彩の症状
幼少時から羞明、視力不良、斜視、振子様眼振(ほぼ全例でみられる)、固視不良などを認める。
先天無虹彩の合併症・併発症
黄斑低形成は40-50%の症例でみられ、合併すると視力予後は不良とされる。他の眼合併症として、白内障(20歳までに50~85%、Zinn小帯は脆弱)、水晶体偏位、緑内障、角膜混濁、斜視、視神経低形成などを認めることがある。
全身合併症としてWilms腫瘍の発生頻度は非常に高い。さらに、泌尿生殖器異常、精神発達遅延もしばしば認められ、このような症例では11番染色体短腕欠失(11p13欠失)が報告されており、11p13欠失症候群とされる。
先天無虹彩の診断
細隙灯顕微鏡によって診断は容易だが、上述したWilms腫瘍を合併していないかを確認する必要がある。
先天無虹彩の治療
屈折異常があれば眼鏡等で屈折矯正を行う。また、羞明が強い場合は遮光眼鏡や虹彩付きコンタクトレンズを用いることがある。また、白内障、緑内障、角膜混濁などの併発症については各疾患に対する治療を行う。また、Wilms腫瘍など全身合併症がないか、他科との連携も重要になる。
参考文献
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