目に関するブログ

第74回日本臨床眼科学会の特別講演

特別講演②佐々木洋先生

眼部紫外線被曝と眼疾患

  • 小児の初期瞼裂斑と眼部UV被曝:1.6~2.1倍

成人の眼部UV疾患

  • 翼状片患者は非翼状片患者よりCOUV(生涯眼部紫外線被曝量)が有意に高く、COUVが増加すると有病率は増加する。
  • COUVが増加すると核白内障が増加
  • 核白内障の有病率が著しく高い地域では環境温度も高い。30度以上の日数・月数が増えると核白内障とレトロドットのリスクは有意に上昇。

白内障薬物治療の可能性

  • 水晶体内の酸化ストレスを抑制する抗酸化タンパクは、還元型グルタチオン(GSH)Peroxiredoxin6(PRDX6)、Catalase、Super Oxide Dismutaseなど
  • PRDX6は細胞膜を透過するが、タンパクなので点眼薬製造は難しい
  • 水晶体の抗酸化タンパクを誘導する薬物ulforaphane(SFN)はサプリメントとして使用、カロリー制限模倣薬であるCalorie Restriction Mimetics(CRM)は点眼で眼内に移行し、白内障抑制作用を持つ。Ginkgolic Acidは転写因子SP1を介し、抗酸化タンパクPRDX6を誘導する。これらはいずれもPRDX6発現を誘導する。
  • 全身・水晶体の酸化・糖化ストレスを消去し、白内障を抑制する食事・サプリメントとして、ルテイン・ヒシはストレプトゾシン誘発ラットの糖白内障を抑制し、SCRの白内障進行を抑制した。また、プロポリスはガラクトース誘発ラット糖白内障を抑制した。
  • タンパク凝集を抑制・溶解させる薬物として、ラノステロールはイヌの白内障を再透明化、SCRの白内障に対する進行を抑制した。また、Alpha-lipoic acid(LA) and LA choline ester(LACE)は水晶体のS-S結合離開により水晶体硬化を抑制したり、LA静注でラット糖尿病白内障の進行を抑制したり、LACE点眼液で抗老視薬として点眼で眼内移行したり、GSH前駆体として酸化ストレスの消去効果も報告されている。
  • Lanosterol nanparticles配合in situ gel(LA-NPs/ISG)はエンドサイトーシス機能を介して、点眼での高い眼内移行性を示し、水晶体機能異常と混濁進行を抑制する。

福地先生による緑内障からQOLを守るためのストラテジー~EBMからPCMへ~

  • EBMをもとに個別化医療を提供することがPCM
  • 緑内障の有病率は2000年の多治見スタディでは5.0%、2020年度の推定有病率は6.3%となっている。

視野障害とQOL

  • VFQ-25は眼疾患に伴う見え方を調査し、視覚的QOLを評価する質問票で、0-100点で100点に近いほどQOLが高いことを表す。
  • 緑内障患者では一般的健康感、見え方、見え方による自立、周辺視野の点数が低かった。
  • VFQ-25は全質問が同点数であり、総合評価にはRasch scoreが適している。
  • VFQ-25 Rasch scoreでQOL低下が生じる限界値(<50と設定)はWorse eyeのMD値がー21.0㏈、VFI値が30%、Better eyeのMD値が-13.5dB、VFI値が56%となった。
  • IVFは両眼重ね合わせ視野で、各測定点の実測感度値の高い方を選択して両眼視野を作成する方法。さらに、24-2と10-2視野を重ね合わせるHDIVFを提案。

コントラスト感度とQOL

  • コントラスト感度(CS)は視力とは別な形態覚を表す方法。視力は濃淡と輪郭が鮮明な指標を用いた検査で、CSは指標と背景の濃淡を変化させて測定する。
  • 当初はごく早期からCS変化すると言われていたが、現在は否定的である。
  • しかし、最近CSは緑内障の重症度と関連、QOLと日常生活の評価に用いることができるという報告が出てきた。
  • CSは年齢の影響を受けやすい
  • 緑内障診察時、および経過観察中に中心10度以内視野測定、En face imageによる黄斑部神経線維層観察を行い、黄斑部障害、中心窩障害の有無と重症度を判定する。

黄斑部障害とOCTA

  • 緑内障では正常眼に比べ、OCTAで低輝度
  • 緑内障の診断精度はOCTの網膜内層厚測定≧OCTAの黄斑部血管密度測定となるようである。
  • 血管密度の低下は緑内障の進行のリスクファクターの可能性
  • FAZは中心窩無血管領域のことで、網膜疾患では黄斑部毛細血管を評価する良い視標で、虚血性疾患の進行度と関連する。
  • FAZは緑内障による黄斑部障害、中心窩障害の重症度を表す一つの重要な指標になる可能性がある。
  • 乳頭周囲深部血管脱落(MvD)は乳頭周囲深層部(脈絡膜レベル)における微小血管網の脱落所見で、MvDを有したPOAG眼では有意にRNFLが菲薄化する。
  • MvDは10-2のMD値、MD変化率とよく相関する。
  • MDは視神経乳頭周囲組織にみられる所見だが、緑内障による中心視野障害と関連し、黄斑部障害の視標、進行のリスクファクターである可能性がある。

トラベクレクトミーは視力低下を停止できるか?

  • トラベクレクトミーを行ったPOAG・NTGで、乳頭黄斑領域に視野障害がある症例で、平均経過眼圧、HFA10-2MD変化率、乳頭黄斑領域TD変化率はいずれも統計学的有意な変化となった。
  • 乳頭黄斑領域の視野障害が改善する例と、さらに加速する例があり、約1/3の症例で視力もしくは中心窩閾値が低下、術後平均経過眼圧値≦9mmHg、術直前中心窩閾値≧32dBで維持する。

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ドクターK
オンライン眼科編集長兼眼科医プロライター/祖母の死→医師を目指す→一浪し眼科医/プロライターとしても500以上の記事を執筆/目の健康、眼科に関する記事をほぼ毎日作成/一緒にお仕事して下さる方はDMして下さい!目の健康に関する情報よ全国へ届け!