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Eales病とは
Eales病は若年性再発性網膜硝子体出血とも言い、その名の通り若年(20~30歳代)に多く、再発性の網膜及び硝子体出血をきたす疾患である。網膜血管の炎症性疾患と考えられており、両眼性が50~90%と多くを占める。
Eales病の病期
Eales病には下記のような病期がある。
初期:網膜周辺部の網膜毛細血管および網膜細動静脈における血管周囲炎が生じる。
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炎症期:毛細血管瘤、網膜血管の拡張、蛇行、出血などを呈し拡大する
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虚血期:無血管野を生じる。
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新生血管期:新生血管のため硝子体出血、牽引性網膜剥離を生じる。
Eales病の所見
1.眼底所見
- 白鞘形成
- 網膜前出血(水平縫線を超えることがあり、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)と鑑別が必要である)
- 硬性白斑
- 周辺部血管炎
- 側副血行路の形成
- 白鞘化した網膜血管
※前部ぶどう膜炎を伴うことは稀だが、血管炎周辺に炎症性の硝子体混濁が生じうる。
2.蛍光眼底造影検査の所見
血管炎は血管壁の染色と蛍光漏出、無血管野と正常網膜の間にsea fan(ウミウチワ)様の新生血管を認める。
3.その他所見
陳旧性例では線維血管増殖膜の形成や牽引性網膜剥離、黄斑上膜や黄斑浮腫、虹彩ルベオーシスを認めることもある。
Eales病の診断
サイトメガロウイルス網膜症、結核、SLE網膜症、Coats病、他の炎症性疾患、網膜血管病変が除外できて初めて診断できる。
Eales病の治療
経過は様々で、自然軽快する症例から失明する症例まである。進行例では下記加療を行う。
1.ステロイド剤投与
炎症所見があればステロイドは有効で、内服もしくはテノン嚢下注射が有効とされる。
2.網膜光凝固術
蛍光眼底造影検査を行い、無血管野があれば行う。新生血管の予防および退縮に有効とされる。
3.硝子体手術
硝子体出血が強い、または網膜剥離など網膜病変がある場合に行う。網膜硝子体癒着が強いため手術では注意が必要となる。
4.その他
抗凝固薬、血管強化薬を内服することがある。
Eales病(イールズ病)の予後
視力良好例は多いが、眼底後極部まで血管閉塞が進行すると視野障害を生じる。また、硝子体出血や網膜剥離、血管新生緑内障などを生じると視機能障害を呈することもある。