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クリスタリン網膜症とは
クリスタリン網膜症は網膜に微細な結晶状の沈着物がある疾患の総称で、薬剤の副作用やシスチン蓄積症など全身疾患の合併症としてみられる。20~40歳代に視力低下、進行性の夜盲、傍中心暗点などで発見され、次第に周辺視野の狭窄・視力低下が進み、しばしば50歳代以降で視力0.1以下となる。アジア圏(特に、中国と日本)に多く認められる疾患である。遺伝形式は常染色体劣性遺伝である。
クリスタリン網膜症の診断
1.細隙灯顕微鏡と眼底所見
角膜輪部にクリスタリン沈着物を認めないこともあるが、眼底では後極を中心に色素上皮と脈絡膜の地図状の萎縮、多数の小さな黄白色斑(輝度が高い)を認める。
2.蛍光眼底造影検査
後極部を中心に網膜色素上皮の萎縮を示すwindow defectによる過蛍光と、脈絡膜萎縮による低蛍光を示す。
3.眼底自発蛍光(FAF)
色素上皮の萎縮を表す、斑状の低蛍光を呈する。これは網膜色素変性症にも認めるが、クリスタリン網膜症では初期の症例にも後極を含んでいる点が異なる。進行とともに周辺部へと広がる。
4.視野検査
FAFの低蛍光部位と一致して暗点を示す。
5.光干渉断層計(OCT)
網膜外層、網膜色素上皮は高度に障害され、外顆粒層にouter retinal tubulation(管状構造物)を高率に複数認める。
6.網膜電位図(ERG)
広範囲に色素上皮変性が進んでいても反応が残存しやすいが、錐体反応および杆体反応ともに中等度低下する。
クリスタリン網膜症の治療
現在までに先進的技術を含め報告はない。残存する視機能を有効に使用できるようにロービジョンケアを行うことが大切とされる。
参考文献
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