今回の記事は第113回医師国家試験の問題を解説していきます。全7問を解説しています。
113A14
解答)a,e
解説)
眼瞼下垂の原因になるものは加齢とコンタクトレンズ長年装用です。眼瞼下垂のうち、後天性眼瞼下垂の多くは加齢によるものです。加齢によって皮膚に皺ができ、瞼を上げる筋肉(上眼瞼挙筋)が衰えることで、眼瞼下垂をきたします。
また、コンタクトレンズ、特にハードコンタクトレンズでは、強く目を閉じてレンズを押し出したりする動作が上眼瞼挙筋の腱膜を脆弱にします。その結果、コンタクトレンズ長年装用で眼瞼下垂が起こります。
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113A21
解答)c
解説)これは黄斑円孔の症例です。
黄色の円で囲った部位が黄斑円孔です。OCT(下図)は明らかだとは思いますが、これは黄斑円孔のStage2です(これは国家試験には出ない知識です)。
黄斑は視力に重要な領域ですから、そこに穴(円孔)があれば視力は低下します。本症例も右目視力は矯正視力で0.4と視力低下をきたしています。
黄斑円孔の症状として、視力低下と変視(歪視)があります。このように、黄斑に病変がある疾患は視力と見え方(今回は変視症)に異常をきたします。これは他の疾患でも応用が利くので覚えておきましょう。
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113C35
解答)e
解説)これは溶接の紫外線が原因となる電気性眼炎です。溶接用のサングラスをしていないと起こります。電気性眼炎では結膜充血、点状表層角膜炎を伴います。
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113D04
解答)e
解説)5は乱視表で、この問題の正解になります。1,2は視力検査で用います。3は矯正が適切かどうかを検査し、4は眼位を検査するための固視灯になります。
113D24
解答)d
解説)相撲による外傷性網膜剥離です。網膜剥離の場合、治療は強膜内陥術、硝子体手術を行います。年齢が若ければ硝子体の弾性があるため強膜内陥術が選択され、高齢になると硝子体の弾性が低下するため硝子体手術が選択されます。よって、この患者は16歳と若いため強膜内陥術を行います。
たとえこの知識がなくても、治療後の写真から強膜内陥術だと分かります。
この黄色矢印が強膜内陥術のバックルを巻いた部位です。強膜内陥術は中にある硝子体の弾性による圧力と外からバックルで縛る圧力で穴を抑える治療ですから、写真のように凹凸を認めます。
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113E06
解答)c
解説)加齢に伴い、調整力を司る毛様体筋の筋力が衰えるため、老眼になることは有名です。その他にも、加齢に伴い、水晶体は硬化するため、水晶体の形を変えるのが難しくなります。これが白内障で、レンズの形を変えることができないため、調節力は低下します。
113F55
解答)d
解説)下図から隅角が狭いことが分かります。また、眼圧が24mmHgと高いことから閉塞隅角緑内障の恐れがあります。しかし、眼底写真、視野検査を施行していないため、あくまでここでは疑いです。ここでは治療ではなく、”対応”と聞いている所が面白いと思います。迅速に対応すべきというニュアンスが伝わってきます。
通常はこれくらいです↓白い光とオレンジの光の間に隙間がありますね。しかし、問題文の図ではこの隙間が狭いです。
よって、隅角が狭い症例で、緑内障発作が起こりやすい目をしています。隅角が狭い場合はレーザー虹彩切開術(LI)あるいは白内障手術を行います。
他の選択肢についてですが、アトロピン点眼は散瞳薬ですのでこれは禁忌。ステロイドは眼圧を上げるためこの症例で禁忌選択肢に近いです。高浸透圧利尿薬点滴は高眼圧の場合に用いられる薬です。この症例では24mmHgと若干高い程度です、30mmHg以上でないと用いません。また、高浸透圧利尿薬点滴は副作用に腎機能障害があることは重要です。その知識で選択肢を消去する問題も今後は出るでしょう。
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