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Horner症候群とは
眼交感神経系の障害で、眼所見や全身所見に多彩な症状を示し、障害部位に応じて中枢性、節前性、節後性の3つに分類できる。
具体的な症状として、縮瞳、暗所で著明な瞳孔不同を呈すが、対光反射は正常である。また、軽度眼瞼下垂、下眼瞼の上昇、瞼裂狭小、見かけ上の眼球陥凹、調整幅の拡大、虹彩異色症、涙液分泌低下、眼圧低下、結膜充血、発汗低下などを認める。
Horner症候群の部位別の原因
特発性が41%、手術・処置後が21%、内頚動脈解離が9%、外傷性が8%、腫瘍が7%、脳卒中が4%、CCFが1%と報告されている[3]。
1.中枢性
- 脳幹梗塞・出血・腫瘍:対側滑車神経麻痺との合併では脳幹障害を疑う。
- 脊髄小脳変性症
- 延髄空洞症
- 変形性頚椎症
2.節前性
- 肺尖部腫瘍
- 縦隔腫瘍
- 頸部手術
- 星状神経節ブロック
- 分娩時腕神経叢下部損傷
3.節後性
- 頚動脈周囲の腫瘍
- 頸部の手術や外傷
- 頚動脈の解離性動脈瘤
- 海綿静脈洞の病変:同側外転神経麻痺など複合神経麻痺を伴う場合に疑う。
- 鼻咽頭腫瘍
- 群発頭痛
Horner症候群の検査所見
- 瞳孔不同
- 眼瞼下垂:瞼板筋の麻痺に伴う。
- 虹彩異色:先天性Horner症候群で認める。
- 顔面無発汗あるいは発汗低下:節後性では顔面の発汗異常は生じない。
Horner症候群の診断
障害部位を特定するため1%アプラクロニジン塩酸塩(アイオピジン®点眼薬)を用いる。この薬剤を投与後、正常であれば変化ないか、縮瞳する。両眼に点眼後、0分、5分後の2度点眼をする。
明所では強く縮瞳するため瞳孔変化が分かりにくく、暗所での評価が望ましい。また、遠方視でを行うことで近見反応による縮瞳が入らないようにするのが重要である。Horner症候群では点眼30~60分後に散瞳をきたし、点眼前後で瞳孔不同が左右逆転する。
発汗異常も重要で、患側の発汗低下は中枢性では全身の半側に、節前性では顔面半側に、節後性では前額内側と鼻尖部に起こり、発汗低下部位のほてりや紅潮をきたす。
先天性の動眼神経麻痺は縮瞳していることもあり、鑑別が重要となる。
成人においてアプラクロニジン点眼の副作用の報告はほとんどないが、小児では傾眠傾向、呼吸抑制などの副作用の報告がある。特に6か月以内の症例に多い。
Horner症候群の治療
原疾患の治療を優先し、全身に異常がなければ経過観察で良い。
参考文献
- 今日の眼疾患治療指針第3版
- 眼科学第2版
- Causes of Horner Syndrome: A Study of 318 Patients
- 眼科 2021年12月臨時増刊号 63巻13号 特集 覚えておきたい神経眼科疾患
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