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タモキシフェン網膜症について
タモキシフェンクエン酸塩は、抗エストロゲン作用を有する乳がん治療薬である。タモキシフェン網膜症の頻度は約12%であり、投与後長期経過中に発症しやすい。タモキシフェンの眼副作用としてはタモキシフェン網膜症の他に下記が報告されている。
タモキシフェンの眼副作用
- 角膜上皮下沈着物、角膜混濁
- 白内障
- ドライアイ
- 視神経症
など
タモキシフェン網膜症の眼所見と特徴
タモキシフェン網膜症は急性期発症と慢性期発症がある。
急性期発症では、嚢胞様黄斑浮腫が見られ、可逆性とされる。
慢性期発症では、両眼の黄斑とその周囲に輪状に広がる黄白色で、キラキラ光るクリスタリン状物質の沈着が特徴的である。これは薬剤を中止しても消失せず、診断後は投与中止が推奨される。
標的様黄斑浮腫、網膜出血、網膜剥離、乳頭腫脹が見られたり、黄斑部毛細血管拡張症(Mac-Tel2型)に類似した所見も呈したりすることがある。
タモキシフェン網膜症の治療
タモキシフェン網膜症が疑われ、視力低下を伴う場合は投与を中止する。ただし、中止により進行は止まるが、回復は難しいため早期発見が重要となる。
参考文献
- 眼科学第2版
- Retinal toxicities of systemic anticancer drugs
- Retinal toxicities of cancer therapy drugs: biologics, small molecule inhibitors, and chemotherapies
- Risk of Ocular Adverse Events With Taxane-Based Chemotherapy
- Update on Retinal Drug Toxicities
- Improvements in visual acuity and macular morphology following cessation of anti-estrogen drugs in a patient with anti-estrogen maculopathy resembling macular telangiectasia type 2: a pathogenic hypothesis
- Tamoxifen retinopathy and macular telangiectasia: A comparative case series
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