目の病気

加齢黄斑変性症(AMD)

加齢黄斑変性症(AMD:age-related macular degeneration)の定義

AMDは50歳以上で中心窩を中心に半径3000μmの範囲に認める加齢性の黄斑異常と定義され、滲出型萎縮型に大別される。さらに、滲出型は下記のように大きく3つに大別される。

滲出型AMD

  1. 脈絡膜新生血管(CNV:choroidal neovascularization)に基づく病変
  2. CNVを伴わない1乳頭径以上の網膜色素上皮剥離(PED:pigment epithelial detachment)
  3. 特殊型:ポリープ状脈絡膜血管症(PCV:polypoidal choroidal vasculopathy)、網膜血管腫状増殖(RAP: retinal angiomatous proliferation)

日本は滲出型の半分以上がPCV,RAPは1~2%と言われている

AMDの疫学

AMDは主要先進国において失明原因の第1位で、日本でも第4位(70歳以上の高齢者で限定すると第1位)である。日本国内では1998年に福岡県久山町、2000~2002年に山梨県舟形町、2008~10年に滋賀県長浜市において調査がなされ、日本人のAMDの頻度・リスクが明らかになりつつある。50歳以上の男女(男が3倍)の片眼性または両眼性(40%)に認める。

1.Hisayama Study

福岡市久山町の住民を対象に1961年から調査が開始され、1998年に眼底検査が行われている。加齢黄斑変性症の罹患率調査は50歳以上の1844人のうち、両眼検査を行った1486人を対象として実施された。

全体的に有病者数が少ないため、詳細な検討は制限されているものの、early AMDおよびドルーゼンは年齢とともにその有病率が増加した。男女別ではlate AMD および網膜色素上皮色素(RPE)異常が男性に多くドルーゼンの有病率に性差はなかった。ただ、追加調査でドルーゼンは女性に多く発症したと報告された。また、喫煙および白血球数がlate AMD発症に関係していた。

内訳(1998年)

  • Early AMD(ドルーゼンおよびRPE色素異常)12.7%
  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)0.87%
  • ドルーゼンあり9.6%

内訳(2003年)

新規で

  • Early AMD(ドルーゼンおよびRPE色素異常)8.5%
  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)0.8%

内訳(2007年)

  • Early AMD(ドルーゼンおよびRPE色素異常)10.0%
  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)1.4%

内訳(2012年)

  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)1.6%

ドルーゼンとは

ドルーゼンは網膜色素上皮下(正確にはRPE細胞の基底膜とBruch膜の間)の黄白色小円形隆起病巣で、多形成物質(変性した蛋白、脂質)で構成されている。親水性と疎水性成分からなり、中心部の核と周辺部では構成成分が異なる。このドルーゼンを黄斑部に認めると加齢黄斑変性症の前駆病変の恐れがある。

1.硬性ドルーゼン

直径63μm以下のドルーゼンを硬性ドルーゼンという。これのみでは病的意義は少ないとされる。蛍光眼底造影検査(FA)では硬性ドルーゼン上のRPEは進展されメラニン色素が少なくなるため、window defectにより初期から点状過蛍光となる。色素漏出はない。インドシアニングリーン蛍光造影(IA)では早期より過蛍光、後期までそれが持続する

2.軟性ドルーゼン

直径63μm以上のドルーゼンは全て軟性ドルーゼンとされる。軟性ドルーゼンが1個以上あれば前駆病変と診断される。多くは250μm程度の大きさで、境界比較的不明瞭な病変としてみられる。直径125μm以上のドルーゼンはlarge drusen、それらが癒合したものをconfluent drusenという。さらに、癒合が進み漿液性PEDに類似したものをdrusenoid PEDという。FAは早期でやや低蛍光、後期にわずかに過蛍光となる。IAは早期より低蛍光で、後期にはより低蛍光が明瞭となる。

2.Funagata Study

山形県舟形町の住民を対象に1990年から調査が開始され、加齢黄斑変性症の罹患率調査は2000~02年に行われている。35歳以上の1961人のうち、判定可能な右目の写真が得られた1625人を対象として実施された。

全体的に有病者数が少ないため、詳細な検討は制限されているものの、AMDおよびドルーゼンは年齢とともにその有病率が増加した。男女別ではDistinct drusenおよびLarge drusen、RPE色素異常が男性に多く、early AMD, late AMDの有病率に性差はなかった。その他の危険因子に関しては、喫煙がlate AMDに発症に関係すると報告されている。

内訳

  • Early AMD(ドルーゼンおよびRPE色素異常)                3.5%
  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)                     0.5%
  • ドルーゼン+
     Distinct drusen                                                                    15.1%
     Indistinct drusen                                                       1.7%
     Large drusen                                                                      15.6%

3.Nagahama Study

滋賀県の北東部に位置する長浜市の住民を対象として2008年から開始された調査で、加齢黄斑変性症の罹患率調査は50歳以上の参加者6118人のうち、両目とも良好な眼底写真像が得られ、かつ糖尿病網膜症や黄斑前膜などの黄斑疾患を有しない5595人を対象として実施された。

前駆病変を含めたすべての病型が年齢とともにその有病率が増加した。男女別ではlate AMDやearly AMD、RPE色素異常が男性に多く、ドルーゼンの有病率に性差はなかった。その他の危険因子に関しては、喫煙がearly AMD,late AMDに発症に関係すると報告されている。

内訳

  • Early AMD(ドルーゼンおよびRPE色素異常)                22.8%
  • Late AMD(滲出型AMD or 萎縮型AMD)                     0.58%
  • ドルーゼン+                                                         39.4%
  • Large drusen(≧125μm)                                      15.6%

AMDのリスク

加齢、喫煙(確実)

※日光曝露、肥満、高血圧などの関連も指摘されている
※関連する遺伝子:1番染色体長腕(1q32)、10番染色体長腕(10q26)に存在する

AMDの診断基準

  • 50歳以上
  • 中心窩を中心に半径3000μm以内の領域に以下の病変
  1. 前駆病変
    • 軟性ドルーゼン
    • 網膜色素上皮異常
      網膜色素上皮の色素脱出、色素沈着、色素ムラ、直径1乳頭径大未満の漿液性網膜色素上皮剥離
  2. 滲出型AMD
    主要所見:以下のうち1つ以上
    ・CNV+
    ・漿液性PED
    ・出血性PED
    ・線維性瘢痕
    随伴所見:以下の所見を伴うことが多い
    ・滲出性変化:網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン)、硬性白斑、網膜浮腫、漿液性網膜剥離
    ・網膜or網膜下出血
  3. 萎縮型AMD
    脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界鮮明な円形あるいは房状地図状萎縮(≧直径250μm)を伴う
  4. 除外規定:近視、炎症性疾患、変性疾患、外傷などによる病変を除外する

前駆病変

軟性ドルーゼンあるいは軟性ドルーゼンに付随するRPE異常のこと。前駆病変には炎症と虚血が関連している。RPE内部にはリボフスチンが沈着し、そこで活性化する。酸化ストレスなどによりRPE細胞に潜在性の障害が生じる。こうしてRPE細胞が炎症を惹起する液性因子が脈絡膜側に放出する。この液性因子が慢性の炎症を引き起こし、Bruch膜内部にドルーゼンが生じる。

さらに、Bruch膜が肥厚したり、脂肪が沈着すると、液性因子の拡散が阻害され、その場で網膜及び脈絡膜障害をきたす。軟性ドルーゼンが1個以上あれば前駆病変と診断される。軟性ドルーゼンが大型(drusenoid PED)、癒合性(confluent drusen)があれば滲出型AMDに移行する可能性が高くなる。一方、RPEの異常は色素脱出(境界不明瞭で脈絡膜血管が透見できない程度の網膜色素上皮の萎縮)、色素沈着色素ムラに加え、小型(1乳頭径未満)のPEDをさす。

Bruch膜

正確には膜ではなく、RPEおよび脈絡膜血管から形成される約2μmの結合組織で、正確には膜ではない。Bruch膜は脈絡網膜間のバリアの働きをしている。

前駆病変の画像所見

  • 眼底検査:ドルーゼンは黄色小円形のRPEの隆起。RPE異常は色素沈着、脱色素。
  • 光干渉断層計(OCT):PREのドーム状隆起としてみられ、内部は中等度反射。前駆病変では滲出性変化は認めない。
  • 蛍光眼底造影検査(FA):蛍光漏出はなく、後期に染色されるもの、されないものがある。
  • IA:ドルーゼンに一致して低蛍光で、RPE異常は過蛍光、低蛍光のこともある。

ドルーゼンの眼底・OCT画像

ドルーゼンのFA画像

前駆病変の治療

治療はなく、

  • 黄斑に大型のドルーゼン+
  • 対側眼にすでに滲出型AMD+

⇒大量のビタミンA,C,E,亜鉛からなるサプリメントを5年間服用すると滲出型AMDになりにくい。

萎縮型AMD

RPEと脈絡膜毛細血管の萎縮が進行し脈絡膜血管が透見できる状態で、RPEの境界鮮明な地図状萎縮としてみられ、大きさは問わない。

※除外規定:続発性にCNVを伴う疾患、地図状萎縮との鑑別が必要な疾患とを除外する必要がある。

滲出型AMD

主要な所見はCNV、大型の漿液性PED、出血性PED、線維性瘢痕であり、少なくとも一つを満たせば確定例となる。CNVは蛍光眼底造影検査(FAG)だけでなく、検眼鏡的に網膜下に白色病変または橙赤色病巣を認めれば確診例となる。漿液性PEDはCNV伴わなくても1乳頭径以上であれば主要所見となる。出血性PEDと線維性瘢痕は滲出型AMDの特異度の高い所見である。滲出型AMDの随伴所見は網膜静脈閉塞症や網膜細動脈瘤などにも認めるため随伴所見となっている。

1.CNVによる滲出型AMD

CNVは脈絡膜からRPE下に向かって発育し、網膜下に達すると出血や滲出を生じる。そこで、GassはCNVがRPE下に存在する場合をⅠ型(15%)、RPE上に存在する場合はⅡ型(85%)と分類した。共通する所見としては漿液性網膜剥離、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、網膜下出血、硬性白斑である。漿液性PEDや出血性PEDはoccult CNVに発生することが多い。CNVを認める場合、典型AMDは35.3%、PCVが54.7%、RAPが4.5%程度とPCVが最多であると報告されている。

Gass分類

Ⅰ型CNV:CNVがRPE下に存在する場合(15%)

Ⅱ型CNV:RPE上に存在する場合(85%)

検眼鏡所見

Ⅰ型CNV

  • RPEが不規則な橙赤色隆起病巣を示す
  • RPEが隆起(程度は様々)
  • 隆起部の上皮が傷んでいれば萎縮や色素ムラがある

Ⅱ型CNV:

  • RPE上に隆起した灰白色病巣
  • 漿液性網膜剥離
  • CNVの周囲にふちどり様に網膜下出血を伴う

眼底画像

蛍光眼底造影検査(FA)

CNVからの漏出パターンによってClassic CNVおよびoccult CNVの分類する際に必要となる。特に、Ⅱ型CNV検出に優れている。

Classic CNV

造影早期にはCNVに一致した境界鮮明な過蛍光を認め、後期には網膜下腔へ色素が漏出する。結果、造影後期にはCNVの境界を越えて広がる強い過蛍光を示す。

Occult CNV

Ⅰ型CNVではCNV上方の網膜色素上皮細胞中のメラニンがblockし、造影早期の過蛍光は認めない。さらに、occult CNVには2種類ある。

classic CNVとoccult CNVのFA画像

fibrovascular PED:造影1~2分後に点状過蛍光があり、造影後期で淡い蛍光漏出を示す。

Late leakage of undetermined source:造影開始2~5分には蛍光漏出部位ははっきりせず、造影後期で弱い蛍光漏出を認める。

FA分類

中心窩CNVのあるAMDに対して光線力学療法(PDT)が行われるようになり、レーザー照射範囲を決めるためにFA分類が用いられる。このCNVの範囲の判断はclassic CNVでは造影早期の境界鮮明な過蛍光を、occult CNVでは後期の色素漏れ(10分程度)の範囲で判定する。

  • Predominantly classic CNV:病変中classic CNV≧50%
  • Minimally classic CNV:病変中classic CNV≦50%
  • Occult with no classic CNV:病変中classic CNV=0%

インドシアニングリーン蛍光造影(IA)

網膜色素上皮を透過し、Ⅰ型CNVの検出に優れている。FAでoccult CNVならIAが有用である。ただ、classic CNVおよびoccult CNVとも典型例では網目状の異常血管網が造影早期に検出されることが多い。大量の出血や漿液性網膜色素上皮剥離がある場合のCNVの検出には有用である。

光干渉断層計(OCT)

Ⅰ型CNVは網膜上皮下なのでCNV自体は検出困難であり、網膜色素上皮を示す高反射層の突出や肥厚の状態から推測する。Ⅰ型CNVはdouble layer signを示すものと、RPEがドーム状に隆起した線維血管性色素上皮剥離に分けられ、後者は特に難治性とされる。網膜色素上皮下CNVでは網膜色素上皮は不規則に隆起する。網膜色素上皮下腔には中から低度の反射がある。Ⅱ型CNVではRPE上の高反射塊として検出できる。

2.滲出型AMDの診断

まずIAの所見でPCV、RAPを除外し、OCTあるいはFAでoccult CNVかclassic CNVかに分類する

PCV

PCVは滲出型AMDの特殊型として分類される疾患で、脈絡膜レベルの異常血管網と、その先端のポリープ状病巣からなる疾患である。漿液性PEDまたは出血性PEDを伴うことが多い。日本人の滲出型AMDのうち、54.7%がPCVであった報告された。診断にはIAが有用とされる。日本PCV研究会はポリープ状病巣に着目した診断基準を提唱している。

PCVの診断基準

確実例(どちらかでOK)

  • 眼底検査で橙赤色隆起病巣※を認める
  • IAでポリープ状病巣※※を認める

不確実例(どちらかでOK)

  • IAで異常血管網のみを認める
  • 再発性の出血性PED、漿液性PEDを認める

※橙赤色隆起病巣は網膜色素上皮レベルの境界鮮明な充実性の隆起性病巣で、充実性で、漿液あるいは出血性PED特別できる

※※ポリープ状病巣はIAで瘤状、あるいはぶどうの房状の病巣である。早期に過蛍光で、時間とともに大きくなり、ある時点から形、大きさは変わらない

PCVの分類

  1. PCVの位置による分類
    ・黄斑型:日本人に多いタイプで、Uyamaらの報告によればPCVの93%を占めるとされる。黄斑部に病変があるため歪視や視力低下などの自覚症状を生じる。
    ・視神経乳頭型:視神経乳頭あるいはその近傍に病変が存在する。
  2. IA所見による分類
    1)狭義のPCV:狭義PCVの異常血管網はIAで周囲の脈絡膜動脈と同時に造影され、拡張、狭窄、蛇行など走行異常を示し、周囲の正常血管に連なることが確認できる。流入・流出血管は伴わない

    2)polypodial CNV:
    IAで流入・流出血管描出される。異常血管網は大型で、流入血管から分枝が多数、放射状に伸びる形で形成され、その辺縁にポリープ状病巣が描出される。IA後期にはplaqueを生じ、classic CNVを合併することおまる。

PCVの検査

PCVのFA

ポリープ状病巣に一致した部位は造影の比較的早期に過蛍光を示す。後期の所見は様々で、window defect、組織染あるいは色素漏れを示す。ポリープ状病巣に接してRPEの萎縮を示すwindow defectを認める。

PCVのIA

検眼鏡的に橙赤色隆起病巣に一致して、IAでもポリープ状病巣を認める。早期に過蛍光を示し、造影時間とともに大きくなり、ある時点から形は変わらない。後期には色素漏出をきたすことがある。また、輪状の過蛍光となることもある。

PCVのIA画像

PCVのOCT

ポリープ状病巣は前方に突出するRPEの高反射帯として認め、漿液性PEDと類似する。漿液性PEDとは、突出の程度が急峻、表面凹凸不整がある点で異なる。また、異常血管網の範囲では、RPEを示す高反射が隆起し、下方にもう一層の高反射帯を認めることがある(double layer sign)。

また、PEDのドーム状隆起の縁に小型PEDが連なるように描写されることがあり、これをtomographic notch in the PEDと呼び、CNVが周囲と癒着してRPEを牽引することでできるとされ、CNVを示唆する所見とされている。多くの症例でIAで同様の部位にポリープ状病巣が観察される。

PCVのOCT画像

PCVの自発蛍光

眼底自発蛍光(FAF)の蛍光物質はリボフスチンで主にRPEに存在する。RPEに障害があると、リボフスチンが代謝されず蓄積する。RPEが軽度障害されるとFAFは過蛍光となるが、障害が強くなると蛍光は消失する

PCVのFAF

PCVの予後

PCVは予後良い例もあれば、悪い例もある。このように多様な経過をとるため、他の疾患と類似し、時には診断に非常に苦慮することがある。

RAP

AMDはCNVが起源だが、RAPは網膜内新生血管(IRN;intraretinal neovascularization)が起源となる。黄斑部に多数の軟性ドルーゼンを認める。両眼性高齢者(特に女性、白人に多い(欧米ではAMD全体の15~20%))に発症しやすい。さらに、RAPは下記の3病型に分けることができる。

  1. StageⅠ:網膜内新生血管(IRN)。最も初期の変化で、黄斑部の網膜深層の毛細血管網から網膜内の血管増殖が発生する。IRNは周りの網膜血管を吻合し、網膜―網膜血管吻合(RRA;retinal-retinal anastomosis)を形成する。検眼鏡的に網膜浮腫と多発する網膜内出血を認めるが、多くは無症候性である。
  2. StageⅡ:IRNが網膜の視細胞層を越えて網膜下腔へ進展し、網膜下新生血管(SRN;subretinal neovasculaization)を形成する段階。網膜浮腫、網膜内出血はStageⅠより増強する。SRNがRPEに達すると、ほぼ全例で漿液性PEDが発生する。
  3. StageⅢ:IRN+SRN+CNVCNVを伴い、これがRPE下に進展した新生血管と吻合し、網膜-脈絡膜血管吻合(RCA;retinal choroidal anastomosis)を形成する。

RAPの診断

  1. 眼底所見:網膜内出血や網膜前出血など網膜表層に出血を認めることが多い。また、軟性ドルーゼンなども認めることが多い。
  2. IA:RRA+でほぼ診断確定となる。造影後期で新生血管から旺盛な蛍光漏出(hot spot)があればRAPを示唆する。

    ※StageⅢでは網膜下新生血管と吻合するRPE下の小型のCNVとの吻合血管を認める時期にはPED下の小さなCNVはIAではRPEと、色素上皮下液のblock効果のために検出されないこともある。
  3. FA:Occult with no classic CNVやMinimally classic CNVを示すことが多い。
  4. OCT:IRN,SRNは網膜外層の中~高反射塊(bump sign)として描出されることが多い。また、漿液性網膜剥離がみられることがある。SRNがさらに進展してRPEに達するとPEDが発生するが、このときIRN、SRN下のRPE高反射層は欠損を示すことが多い。また、強いCMEを認めることもある。

AMDの治療

AMDの予防

  1. 禁煙指導など生活習慣の改善(運動、遮光、緑黄色野菜の定期摂取)
  2. 黄斑に大型のドルーゼン、対側眼にすでに滲出型AMDを認める場合はサプリメントを定期摂取する
  • ビタミンC(500㎎)
  • ビタミンE(400IU)
  • 亜鉛(25㎎)
  • ルテイン(10㎎)
  • ゼアキサンチン(2㎎)
  • 銅(2mg)

この成分に近いサプリメントを定期摂取する

中心窩外の場合

CNVあるいはPCVのポリープ状病巣が中心窩外にあれば光凝固術を行うこともある。しかし、PCVでは滲出性のあるポリープ状病巣のみ、あるいは滲出性のあるポリープ状病巣と一部の異常血管網の実を光凝固する部分凝固と、全てのポリープ状病巣と異常血管網を含めた病変全体を凝固する全体凝固がある。部分凝固では異常血管網から新たに病巣ができ、再発を繰り返す恐れがある。

また、全体凝固では広範囲のため侵襲が大きいなど、光凝固術だけでは満足のいく治療はできなかった。さらに、抗VEGF薬やPDTの台頭により、光凝固術は中心窩外にあり、新生血管も比較的小さく凝固斑による暗点もあまり問題にならない症例など、一部の症例にのみ行われているのが実際である。

光凝固術を行う場合、凝固した部位は暗点になり見えなくなること、一時的に出血や滲出性変化の増悪をきたすことがある旨は事前に説明しておく必要がある。また、光凝固術は根治治療ではなく、再発するリスクはあることも併せて説明しておく必要がある。

具体的なやり方は

CNV自体を100μmののりしろを付けて囲むように、中心窩から遠い部位から凝固を開始し、病変の中心に向かって堤防状にCNVを囲い(100μm0.1秒)、ついでCNVを覆うように凝固する(200μm0.2秒)。栄養血管を光凝固する際には、IAの初期画像を参考に、CNVへの流入血管を同定し、十分な強さで凝固する。

他にも、黄色以上の波長のレーザー(出血部は赤色)でスポットサイズ200~300μm、出力150~250mW、凝固時間0.2~0.5秒で、CNV周囲に100μmのsafety marginを含んでCNV全体に中等度以上の光ぎょうこを行うという方法もある。

合併症

上で少し触れたが詳細に示すと、

  • 凝固斑の拡大
  • 網膜・脈絡膜出血
  • 滲出性変化増悪
  • 網膜色素上皮裂孔

など

※近視眼、加齢による脈絡膜萎縮があると凝固斑拡大は起こりやすい
※PCVの症例や丈の高い色素上皮剥離がある場合は脈絡膜出血や網膜色素上皮裂孔をきたしやすい

中心窩下の場合

CNVあるいはPCVで異常血管網やポリープ状病巣があればPDT、抗VEGF薬、あるいは両者併用療法を行う。

中心窩にPCVがある場合

  • 視力≦0.5⇒PDTあるいはVEGF阻害薬+PDT併用療法
  • 視力≧0.6⇒抗VEGF薬単独療法

を行う。

PDT

PDTは中心窩に病変を含んでも治療可能で、日本人では臨床研究で視力維持ができたという報告もある。ベルテボルフィン(ビスダイン®)を肘静脈から10分かけて静注し、15分後にCNVに689nmのレーザー光を50J/cm2で83秒間照射する。ベルテボルフィンはCNVの血管内皮細胞に取り込まれ、光化学反応が起こると、一重項酸素が発生する。

この発生した一重項酸素は血管内皮細胞を傷害し、傷害された血管内皮細胞に血小板等が付着する。この血栓によってCNVは閉塞する。ただし、このPDTは眼科医ならだれでもできるわけではなく、日本網膜硝子体学会および眼科PDT研究会からの認定が必要である。

PDTの適応

現在、AMDの治療の中心は抗VEGF薬が中心となっているが、下記の場合は抗VEGF薬併用PDTが行われる。PDTはポリープ状病巣の閉塞率が高く、RAPにおいてRRAの閉塞率が高い。PDT単独の視力改善効果は乏しいが、抗VEGF薬がその効果を補うことが期待される。また、PDTの治療後に照射部位におけるVEGFの発現亢進とそれによる再発やPDT照射後の出血の出現を緩和する可能性がある。

  • 抗VEGF薬単独療法で滲出病巣の寛解が得られにくい滲出性AMD
  • 再発性・難治性PCV or RAP
  • 最近の脳梗塞既往例

※PEDの中にCNVがあると成績が悪く、CNVあるいはPCVの栄養血管が太い場合、PCVでは病変が大きい場合には大出血を起こしやすい。

PDT後の視力

初回PDT施行後はFAを3か月毎に行い、色素漏れがあれば再度PDTを行う。報告によれば1年後、2年後ともPDT前の視力が保たれるとされている。しかし、視力の改善効果が少ないことが示されている。

一方、PCVだけを見ると2013年に未治療PCVに対するラニビズマブとPDTを比較した前向きスタディが日本から報告され、12か月においてPDT単独治療では視力維持だが、ラニビズマブでは有意な視力改善を認めた。PDTはPCVに対するポリープ状病巣閉塞率が高いものの、現段階でその適応は視力不良例(視力≦0.5)や難治例が良いと思われる。

PDTの副作用
  • PDT後には網膜下出血をきたし、急激な視力低下をきたすことがある
  • 脈絡膜循環障害、脈絡膜厚の減少が出現しうる
  • 地図状萎縮(geographic atropy:GA)が進行、拡大しうる
    ⇒副作用防止のためにレーザー照射時間短縮、ベルテボルフィンの投与量を半減、抗VEGF薬を併用するなどの工夫が行われる

PDT治療後の注意

治療後は光線過敏症の副作用を避けるため、薬物代謝に必要な24~48時間は屋内で過ごし、直射日光に曝露しないよう指導する。実際には多めに3~5日程度、外出をさけるように指導している施設が多いようである。

抗VEGF薬

CNVの発育にはVEGFが関与し、眼内ではVEGF-Aが関与する。ペガプタニブナトリウム(マクジェン®)、ラニビズマブ(ルセンティス®)、アフリベルセプト(アイリーア®)が使用可能となっている。ただし、マクジェン®は2020年2月に販売中止が決定しているため、今後は実質的にルセンティス®とアイリーア®を使用していくことになる。滲出型AMD、視力良好のPCVやRAPには抗VEGF薬単独療法が推奨されている。

RPEが安定していること、網膜外層が温存されていること、急性期であることのいずれかを満たしたfluidは抗VEGF薬の薬効が期待できる。

1.ペガプタニブ(マクジェン®)

他のVEGF薬に比べて、治療効果が弱いとされるが、病的血管新生に関与するVEGF-A165を選択的に阻害する。ただし、ペガプタニブは導入期に視力改善効果が乏しく、滲出性変化の抑制効果も弱いため、小型の新生血管を有する症例や、何らかの全身性の血管障害をもつ例での使用、維持期での再発予防に適する薬剤と考えられている。

2.ラニビズマブ(ルセンティス®)

VEGF-Aの全てのアイソフォームをblockする。また、血中半減期が短く、全身循環から排出されやすい点が本製剤の特徴である、日本および海外の報告によるとPredominantly classic CNV、Minimally classic CNV、Occult with no classic CNVでは0.5㎎の4週ごとの硝子体内投与で1年後の平均視力が改善した。

ただし、Ranibizumabは全てのVEGF-Aをblockするため、脳梗塞の既往があると再発率が高くなる可能性が報告されている。一方、PCVに対してポリープ状病巣は消失しにくく、異常血管網は残存し、出血、滲出の吸収には効果があるものの治療効果には限界がある。

・ラニビズマブの投与方法

導入治療として0.5㎎を1か月ごとに計3回投与し、維持期には1か月ごとに経過観察し、視力低下、滲出性変化、新たな出血等で必要なら再投与(PRN :pro re nata)する。PrONTO Studyが行われ、PRNは毎月投与群と同等の視力改善効果が報告されている。他方で、患者ごとにドライな黄斑前膜が維持できる期間を確認しながら投与間隔を延ばしていくtreat and extendも行われている。

実際には毎月治療計3回をした後、来院間隔を2週間ごと広げ、最大12週まで来院間隔を広げていき、また再発があった場合には2週間ごと、来院間隔を縮めていき最適な投与間隔を検索していく

・ラニビズマブの滲出性AMDでの効果

日本ではEXTEND-1 Studyが行われ、典型加齢黄斑変性症において12か月の段階で有意な視力改善が得られている。

・PCVでの効果

2013年のLAPTOP Study(日本)においてラニビズマブ単独とPDTとの前向き比較試験で、12か月でラニビズマブ単独療法において有意な視力改善効果を認めた。また、PCVにおいては視力を問わず、ラニビズマブ単独療法において少なくとも12か月において、良好な治療効果が得られている。

さらに、Hikichiの後ろ向き研究でもラニビズマブ単独療法において2年の成績で有意な視力改善効果が得られている。しかし、ラニビズマブ単独療法では、ポリープ状病巣の閉塞効果が30~50%と弱く、滲出が残存する症例が多いことに注意が必要とされる。

また、ポリープ状病巣の完全退縮率は20~30%であったが、アフリベルセプトでは40~50%であった。

・RAPでの効果

RAPの新生血管は網膜内にあるため、ラニビズマブ単独療法で滲出性変化は速やかに消失することが多く、視力改善効果も良好である。しかし、RRAが閉塞しにくい例が多く、再発率は高い。再発が多ければPDTを併用することが推奨されている。PRN投与による長期的な有効性も示されている。

・ラニビズマブの安全性

ラニビズマブ硝子体内投与で最大の問題点は眼内炎であるが、日本でのルセンティス発売後約2年間で1/3724(0.03%)と極めて低い頻度であった。また、全身性合併症として、高血圧や脳梗塞・心血管イベントが懸念されるが、血圧上昇や脳心血管イベントは脳梗塞の発症が3/3515(0.09%)、心血管イベントが1/3515(0.03%)、高血圧が1/3515(0.03%)と、脳梗塞でやや高い傾向にあった。

3.ベバシズマブ(アバスチン®)

もともと結腸がん・直腸がんへ使用が承認されているが、VEGF-Aの全アイソフォームに結合する抗体で、使用には各施設で倫理委員会の承認が必要となる。2005年にRosenfledらによりAMDのCNVに対して使用され、眼局所・全身の副作用もなく、網膜下浮腫の吸収、視力維持が得られたため、広く世界で使われるようになった。

2013年にイギリスで行われたIVAN studyでもベバシズマブとラニビズマブに同様な治療効果、全身性合併症においても相違がないことが確認されている。最近ではtreat and extendが行われている。安全性について、眼局所では網膜色素上皮裂孔、地図状網脈絡膜萎縮、ぶどう膜炎、眼内炎、白内障など、ベバシズマブ投与による合併症と硝子体注射自体の合併症があると考えられる。

特に地図状網脈絡膜萎縮は、22%発生しており、注意が必要な合併症である。全身性の問題では、動脈血栓塞栓症、高血圧症、消化管出血などが注目される。動脈血栓塞栓症の発生頻度は3~5%で、ラニビズマブと有意差はなかったとされる。

4.アフリベルセプト(アイリーア®)

ヒト型VEGF受容体1と2の細胞外ドメインの一部をヒト型IGg1のFc部分と融合させた遺伝子組換え融合たんぱく質で、硝子体内投与を目的に開発された等浸透圧液剤である。VEGF-Aとの親和性はラニビズマブの80~140倍で、活性持続時間は約2.5倍長いと予測されている。

ラニビズマブ投与群と比較してアフリベルセプト2か月に1回投与群の2年目の平均投与回数が少なかったことは、改善した視力を保ちながら維持期の治療回数も減らせる可能性がしめされている。統計学的な有意差はないが、アフリベルセプトは分子量が大きく、循環系に移行するとペガプタニブやラニビズマブより半減期が長いため、血栓・塞栓イベントはラニビズマブより若干多い結果になっている。このことはアフリベルセプトでも血栓・塞栓イベントの既往のある患者などには慎重投与を検討する必要があるかもしれない。

PDT併用の抗VEGF薬

各疾患における抗VEGF薬単独療法の課題

  • 典型AMD:ノンレスポンダー、タキフィラシー(繰り返しの治療後に効果が減弱する)
  • PCV:再発、ノンレスポンダー例がある。ポリープ状病巣退縮が限定的。
  • RAP:再発例が多く、抗VEGF薬の投与回数が増えてしまう。

抗VEGF薬とPDT併用療法では、抗VEGF薬の抗血管新生作用や透過性亢進作用に加え、PDTには血管閉塞作用があり相乗効果が期待できる。また、PDT単独療法では治療後に網膜下出血が出現しうるが、抗VEGF薬を併用することでそのリスクを軽減できる可能性がある。さらに、PCVのポリープ状病巣閉塞率は高く、RAPのRRAの閉塞率が高くなるという報告もある。

RAPの治療

抗VEGF薬単独療法では滲出を一度抑制できても中止すると再発しやすい。治療回数が少なくすむPDT-VEGF阻害薬併用療法が推奨されている。しかし、視力良好眼ではVEGF阻害薬単独療法も考慮されるため、RAPの疾患概念の普及からそのような例が増えており、VEGF阻害薬単独療法が行われることが多くなっている。また、抗VEGF薬併用PDTあるいはトリアムシノロンアセトニドも併用するトリプル療法が選択される場合もある。治療後は網脈絡膜の地図状萎縮や、網膜色素上皮裂孔などの合併症にも注意を要する。

PDTや抗VEGF薬が普及するより昔は手術をしていた。具体的にはCNV抜去、黄斑移動術、網膜色素上皮移植術などが行われていた。現在は非常に少ないが、こうした治療が疾患の理解を助けたのは言うまでもない。

萎縮型AMDの治療

萎縮型AMDの治療方法はないが、進行を予防できる可能背のある治療方法は開発されつつある。AREDS formulaで効果あるサプリメントとして、ビタミンC(500㎎)ビタミンE(400IU)ベータカロチン(15㎎)亜鉛(80㎎)を毎日摂取することで萎縮型AMDの進行が予防できるかもしれない。

さらに、2006年に開始されたARDES2 Studyではルテイン、ゼアキサンチンによるLate AMDへの進行予防効果も確認された。また、亜鉛量の摂取を25㎎にして、ベータカロチンを摂取しなくても同様の結果が得られたため、下記5種類へと変更された。

  • ビタミンC(500㎎)
  • ビタミンE(400IU)
  • 亜鉛(25㎎)
  • ルテイン(10㎎)
  • ゼアキサンチン(2㎎)
  • 銅(2mg)

黄斑下血腫を伴う症例に対する治療

中心窩にかかる出血が少量で、視力が比較的良好であればアドナ錠とトランサミンカプセルで経過観察をする。あるいは、滲出液を伴っていればVEGF阻害薬を投与する。

硝子体出血をきたせば硝子体手術を行い、中心窩出血が比較的厚く(≧500μm)、視力低下が著しい場合には硝子体内ガス注入による血腫移動術、血腫除去術を行うことがある。

AMDの予後

萎縮型AMDは進行が緩慢であるが、地図状萎縮が中心窩に及べば視力は0.1以下となりうる。また、滲出型AMDはVEGF阻害薬療法により視力予後は改善してきてはいるが、放置すると約9割が0.1以下の視力になるとされている。

参考文献

  1. 眼科学第2版
  2. 網膜硝子体case20study
  3. 黄斑疾患診療AtoZ
  4. クローズアップ網膜診療
  5. 今日の眼疾患治療指針第3版

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