目の病気

マイボーム腺機能不全(MGD)

マイボーム腺とは

マイボーム腺(瞼板腺)は上下眼瞼内に存在する外分泌腺であり、涙液の油層を分泌し涙液の蒸発を抑制しています。その他にも、この油層は涙液安定性の促進、涙液の眼表面への伸展の促進などの働きもしています。このマイボーム腺の機能に異常がある状態をマイボーム腺機能不全(MGD)と言い、眼不快感など様々な症状をきたすことが知られています。

マイボーム腺機能不全(MGD)とは

1980年にアメリカのDr.Korbにより初めて使われた疾患概念です。後部眼瞼炎の一因であり、ドライアイの主因となっています。マイボームの主成分はワックスエステルやコレステロールエステルで、脱落したマイボーム腺上皮細胞なども含まれています。通常のマイボームは眼瞼の温度で融解するのに対し、MGD患者のマイボームは眼瞼の温度よりも高い融点(約+4℃)を示すという報告(文献1があります。

MGDの疫学

平戸度島スタディ(文献3)によれば、MGDの有病率は32.9%で、リスクファクターは男性、高齢、脂質異常症治療薬の経口摂取ということが分かりました。その他にも喫煙やメタボリックシンドロームなども関連があるとされています。また、MGDはドライアイを併発しやすく、その併存率は12.9%とされています。

MGDの検査

マイボーム腺の形態を観察する検査としてマイボグラフィー、機能を評価する検査としてインターフェロメトリー法がありますが、これら検査を実施できる施設は限られています。

マイボグラフィー

翻転した瞼の裏から光を透過する、あるいは赤外線光を用いて眼瞼を観察します。特に、赤外光を利用したタイプは短時間で非侵襲的に観察が可能とされています。画像の白い部分はマイボーム腺の自然光を反映し、黒い部分はマイボーム腺がない部分を示しています。正常はマイボーム腺が白く直線的に並んでいます。一方、MGDではマイボーム腺の脱落、短縮、屈曲、拡張などの所見を呈します。

インターフェロメトリー法

光の干渉像により涙液層を観察する方法で、涙液油層の質や量の変化を光干渉と鏡面反射の原理を用いて非侵襲的に観察します。マイボグラフィーで測定したマイボーム腺焼失面積と、インターフェロメトリー法で測定した涙液油層の圧さとは負の相関があるとされています。

MGDの診断

MGDワーキンググループにより、MGDは「様々な原因によってマイボーム腺の機能がびまん性に異常をきたした状態であり、慢性の眼不快感を伴う」と定義されています(文献2)。

また、MGDは下記のように(文献2より引用)分泌減少型と増加型、そしてそれぞれを原発性と続発性に分けることができます。

文献2より引用

そして、分泌減少型の診断基準も同グループから提唱されています。

MGDとドライアイの鑑別として、眼脂はあまりないにも関わらず、流涙感がある場合はMGDの恐れがあります。

MGDの治療

MGDの治療は眼瞼とドライアイに対して行います。眼瞼の治療としては温罨法眼瞼清拭を行うことが重要です。これらセルフケアを毎日続けることが症状改善につながります。MGDの眼瞼縁の炎症には常在菌、主にアクネ菌の関与が考えられています。よって、炎症に対してフルメトロン点眼液、アクネ菌に対してセフェム系やマクロライド系抗菌薬点眼を行うこともあります。

一方、ドライアイは人工涙液など角膜保護液を使用します。また、MGDのリスクファクターとして、脂質異常症や喫煙、メタボリックシンドロームなどがあるため、それら生活習慣の改善も行う必要があります。

温罨法と眼瞼清拭の簡単なやり方

お風呂のお湯で濡らしたタオル等を5分間ほど目に当て、それを朝晩2回行います。その後、指の腹でまつ毛の根元知覚を易しくマッサージします。最後に目元を暖かいタオルで拭きとれば完了です。家にシャワーしかない人や出張先であえれば下記のような商品も代替可能です。

参考文献

  1. Borchman D, Foulks GN, Yappert MC, Bell J, Wells E, Neravetla S, Greenstone V. Human meibum lipid conformation and thermodynamic changes with meibomian-gland dysfunction. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 52:3805-17, 2011. 
  2. あたらしい眼科2010;27;627-31(mgd_teigi
  3. Reiko AritaTakanori MizoguchiMotoko KawashimaShima Fukuoka Shizuka KohRika ShirakawaTakashi SuzukiNaoyuki Morishige.Meibomian Gland Dysfunction and Dry Eye Are Similar but Different Based on a Population-Based Study: The Hirado-Takushima Study in Japan.Am J Ophthalmol . 2019 Nov;207:410-418

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