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隅角検査とは
隅角検査は房水流出路である隅角を観察する。
特に、
- 緑内障の診療(緑内障病型検査や治療方針の決定、手術後の房水流出路の評価など)
- 隅角に異常が出現する疾患
に必要な検査である。
隅角検査の原理と特徴
接触型レンズを用いて隅角を観察する。
直接型検査法と間接型検査法がある。
隅角底の観察が難しい狭隅角眼の場合には、静的隅角検査に続けて動的隅角検査、圧迫隅角検査を行う。
直接型検査法
直接型隅角鏡を用いる。
直接型隅角鏡にはKoeppe型、Barkan型、Swan-Jacob型などがある。
直接型検査法は乳幼児の隅角検査や隅角癒着解離術のような手術時に行う。
間接型検査法
間接型隅角鏡を用いる。
間接型隅角鏡にはGoldmann隅角鏡、Zeiss四面鏡、Sussman型などがある。
ミラーイメージであるため、四面鏡など複数ミラーがある場合には隣り合うミラー所見が連続しないことに注意する。
隅角検査の検査法
- 点眼麻酔を行う。
- スコピゾル®を隅角鏡接眼部に付ける。
- 角膜に隅角鏡を乗せる。
通常、この手順で観察する。
ただし、Sussman型やZeiss型隅角鏡では、角膜との接触面積が小さいので、スコピゾル®が不要となる。
1.静的隅角検査
- 暗室下で細隙灯顕微鏡の光量を極力下げる
- 瞳孔領に光を入れない
- 隅角鏡で眼球を圧迫しない
- 第一眼位
この自然瞳孔の状態での隅角開大度を評価する。
使う隅角鏡によって所見の取れ方が違うので、この検査は主観的な検査となる。
2.動的隅角検査
静的隅角検査の後に引き続き行う。
- 細隙灯顕微鏡の光量を上げたり、瞳孔領に光を入れて縮瞳させる。
- 隅角鏡または眼位を傾斜させて軽度圧迫を加える。
これらによって隅角を開大させて、隅角底を観察する。
3.圧迫隅角検査
圧迫隅角検査は動的隅角検査の一種である。
Sussmann型やZeiss型のような接触面積が小さいレンズを用いて、隅角鏡で角膜中央を圧迫して変形させる。房水が移動し、周辺部虹彩を後方に押し下げ、隅角底を観察することができる。
隅角検査の評価
1.隅角開大度
隅角開大度の評価は下記の3つの評価方法が一般的である。
- Shaffer分類:隅角の広さ
- Scheie分類:隅角の深さ
- Spaeth分類:隅角の形状
1.Shaffer分類
- Grade0(閉塞隅角):Angle0
- Grade1(狭隅角):Angle10°
- Grade2(狭隅角):Angle20°
- Grade3~4(開放隅角):Angle20~45°
2.Scheie分類
- Grade0:線維柱帯、強膜岬、毛様体帯の全てが見える。
- GradeⅠ:強膜岬が見えるが毛様体帯が見えにくい。
- GradeⅡ:強膜岬は見えず、線維柱帯の下半分が見えにくい。
- GradeⅣ:線維柱帯が見えず、Schwalbe線まで虹彩が隠れている。
3.Spaeth分類
- 隅角の角度:10、20、30、40度
- 虹彩周辺部の形状:s(steep:急峻な凸状)、r(regular:平状)、q(queer:凹状)
- 虹彩の付着部位:A(Schwalbe線より前方に付着)、B(Schwalbe線より後方に付着)、C(強膜岬に付着)、D(毛様体より付着)、E(毛様体のかなり深い部位に付着)
2.色素沈着(Scheie分類)
隅角部の色素沈着の程度により、NONE~Ⅳ度の5段階に分類される。
3.その他異常所見
A.周辺虹彩前癒着(PAS)
周辺虹彩前癒着(PAS)は隅角部と周辺虹彩が癒着した状態である。
形状はテント状、台形、広範な癒着などがある。
B.隅角結節
虹彩や隅角部に観察される白色塊状の小結節を隅角結節という。サルコイドーシスなどの肉芽腫性ぶどう膜炎で見られる。

C.色素異常
落屑緑内障では色素沈着が強く、Schwalbe線を越えるSampaolesi線や、Posner-Schlossman症候群では患眼隅角の脱色素を認める。
D.隅角後退
鈍的外傷の程度により程度は異なる。
E.新生血管
眼虚血性病変に続発する。
F.隅角形成不全
発達緑内障では虹彩が高位で付着し、Axenfeld-Rieger症候群では索状ぶどう膜遺残やSchwalbe線肥厚(後部胎生環)を認める。
参考文献
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