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眼底撮影とは
眼底および前眼部のカラー撮影で、眼底および前眼部所見を観察することができる。通常の眼底カメラでは赤道部より周辺側の眼底病変は撮影できない。
眼底撮影の原理と特徴
眼底カメラはフラッシュ光で撮影する。眼底カメラに装着されているレッドフリーフィルタ―によって緑色光で撮影できる。すると、白黒写真が得られる。緑色光は血液中のヘモグロビンによく吸収されるため、網膜出血などの網膜血管病変の描出に優れている。また、緑色光など短波長の光は網膜硝子体境界面の病変の描出に優れているため、網膜前膜など内境界膜付近の病変および神経線維層欠損(NFLD)の描出に優れている。
眼底撮影の種類
眼底カメラにはいくつか種類がある。
- 眼底カメラ撮影
- ステレオ眼底撮影
- 走査レーザー検眼鏡ステレオ撮影
- 手持ち型眼底カメラ
眼底撮影の検査方法
眼底撮影は無散瞳下で行う場合と散瞳下で行う場合がある。無散瞳型眼底カメラは暗室で撮影を行う。1度撮影すると撮影時のフラッシュで縮瞳するため、時間を空けて再度撮影することになる。一方、散瞳型眼底カメラは散瞳可能ならばミドリンP等で散瞳を行い撮影を行う。
眼底撮影の判定
眼底写真ではその色情報によって考えるべき病変が異なる。
1.赤色病変
A.出血
- 網膜血管が出血で覆われている→硝子体出血、網膜前出血
- 網膜血管の間に刷毛で掃いたような出血→網膜表層出血
- 網膜血管の間に斑状に出血→網膜内出血
- 出血の上を網膜血管が走行→網膜下出血
B.血管
- 網膜主幹静脈の怒張・蛇行→網膜中心静脈閉塞症(CRVO)
- 網膜毛細血管瘤・網膜内微小血管異常→糖尿病網膜症(DR)
- 静脈-静脈側副路→網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)
- 網膜毛細血管拡張→Coats病
- 網膜血管腫→脈絡膜血管腫
- 視神経乳頭血管拡張による発赤→視神経乳頭炎
C.新生血管
- 網膜新生血管→網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)、糖尿病網膜症(DR)
- 脈絡膜新生血管→加齢黄斑変性症、新生血管黄斑症
2.偽赤色病変
などが赤色様に見える。
3.茶色or黒色病変
A.メラニン色素沈着
先天性であれば先天性網膜色素上皮過形成、脈絡膜母斑で、後天性であれば網膜色素上皮・脈絡膜変性萎縮部でのメラニン色素遺残、陳旧性網膜色素上皮剥離、脈絡膜悪性黒色腫などがある。
B.網膜色素上皮の円形・楕円形隆起
網膜色素上皮剥離が挙げられる。
C.視神経乳頭からの放射状地割れ模様
が挙げられる。
4.メラニン脱色素病変
- 網膜色素上皮の変性萎縮
- 網膜色素上皮裂孔
- 網脈絡膜萎縮
などが挙げられる。
5.白色から黄白色病変
A.硝子体中
B.乳頭
先天性なら乳頭ドルーゼン、後天性なら前部虚血性視神経症や視神経乳頭蒼白などが挙げられる。
C.網膜表面
などが挙げられる。
D.網膜
先天性なら白点状網膜症、Stargardt病、Best病、後天性なら硬性白斑、網膜動脈閉塞症の虚血部、壊死性網膜炎の壊死部(急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎)、白鞘化網膜血管(陳旧性BRVO)などが挙げられる。
E.網膜下
- ドルーゼン
- フィブリン塊(ポリープ状脈絡膜血管症、劇症型中心性漿液性脈絡膜網膜症)
- 眼底白点症候群
- 陳旧性網膜下出血(加齢黄斑変性症)
- 視神経乳頭コーヌス
- 網脈絡膜萎縮
- 脈絡膜骨腫
- 転移性脈絡膜腫瘍
などが挙げられる。